ドラマ『アンナチュラル』のコミカルな臨床検査技師や、映画『シン・ゴジラ』のクールな環境省の課長補佐などで見せた独特の個性で、ここ数年は女優としての存在感をさらに増している市川実日子さん。最新出演映画『初恋~お父さん、チビがいなくなりました』では、突如、熟年離婚を切り出した両親に戸惑う娘・菜穂子を等身大に演じている。自立し社会的な地位がありながらも、結婚や家族の問題に対しては、まだまだ心が揺れる30代後半。市川さんが菜穂子の生き方に見出した、自身との共通点とは?

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30代で直面する「親の離婚」は、ただ悲しいだけじゃない

──年老いた母親が「離婚したい」と言いだすことから物語は始まりますが、映画の冒頭は「もし自分が母親の立場だったらそう思うかも……」という感じがしますね。

 なんなのこのお父さん!って思いますよね(笑)。でも最終的には、甘酸っぱいというか、ちょっと照れてしまうくらいの、なんて壮大な恋文なんだろう!と。

──市川さんの役柄は、その老夫婦の末娘である菜穂子でした。演じるうえで考えたことを教えてください。

 今回は現場で、両親や兄姉に囲まれ、セリフのやり取りをすることで実感した部分が大きかったです。一番は、私の役は30代だということ。小学生や中学生ならば、ただ単に「両親が離婚するなんてイヤだ」という拒否反応になるのかもしれませんが、菜穂子のように自立した30代の女性であれば、複雑な思いがありつつも、ほかにも考えることがあるだろうなと。台本に書いてある以外の部分で、もっと想像が必要だなと思いました。

──それは、たとえばどんなことでしょうか?

「両親の離婚」って一大事ではありますが、それをどう受け取るかは年代によって全然違いますよね。子どもだって30代にもなれば、離婚後の親の幸せとか、現実的な生活も考える。とくに菜穂子の場合、自立はしているけれど、兄姉妹の中で一人だけ結婚していないので、「自分がどうにかしなきゃ」ということを一番考えるだろうなと。それは現場で家族と接していく中でもヒリヒリと感じるものがありましたし、ちゃんと考えたいと思ったところでしたね。

──親の離婚話が持ち上がることで、菜穂子の結婚に関する思いもあらわになっていきますよね。「自分で決めたことは後悔しない」という言葉は、同世代の女性にすごく響く気がしました。

原作は、『娚の一生』『姉の結婚』などで知られる西炯子(にし・けいこ)のコミック。家の中の様子や登場人物たちの服装、日常の場面など、どこにでもありそうな家庭の姿が、リアルな共感を呼ぶ。
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 菜穂子が母親と話す場面の、あのあたりのセリフは、菜穂子自身が抱えているものを強く感じました。菜穂子は大人と呼ぶに十分な年齢ですし、仕事でも責任ある立場なので、振る舞いとしてはしっかりしなきゃいけない。でも心の中では、いろんなこと──結婚とか出産とか──で揺れているんだろうなと思いました。常にそのことばかりを考えているわけではないけれど、母親の思いに触れることで、あらためて真剣に考えたというか。

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