細かい部分に至るまで、物語や技術が凝縮

 次に3階へ。旧院長室の床は寄せ木細工で、天井は当時高級だったベニヤ材を使用し、贅沢なつくりとなっている。対面する旧次長室と素材の違いなどを比べてみるのも、面白い。

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〈左〉時計も木材で統一されている。〈右〉職人技術の高さを感じることができる寄せ木細工の床。

 通常は入れない場所ではあるが、内田の研究者に対する想いを感じる場所を紹介しよう。
 図書館の奥には立派な書庫があり、窓と廊下の仕切りに防火シャッターが設置されている。これは、関東大震災で焼失した東京大学の復旧計画に携わった内田が、研究者にとって重要な蔵書を守るべくしてつくったもの。この建物が勉学・研究の場というバックグラウンドを感じることができる。

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〈左〉通常は閉架となっている書庫。〈右〉書庫内には防火シャッターが設置されており、火災時に書物を守る役割を果たしている。

随所に存在する歴史的ディテールも見逃せない

「連続するアーチやスクラッチタイルなど、東京大学の建物群を彷彿させますね。白金の真ん中にこのように立派な建物があることに驚き、港区の歴史も学べるので、みなさんにもぜひ訪れてほしいです」(ユリアさん)

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〈左〉エントランスの柱頭の彫刻も重厚。〈右〉廊下の長押(なげし)をあえて離しているのは、当時のもの(左)と改修後(右)をわかりやすく見せるため。
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〈左〉1階の旧食堂の柱には、当時人気だった泰山タイルが使われている。〈右〉プリズムガラスの床は地下の明かり採りとして使用されていた。
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港区立郷土歴史館
 
住所:東京都港区白金台4-6-2 ゆかしの杜内
TEL:03-6450-2107
ホームページ:https://www.minato-rekishi.com/
開館時間:9:00~17:00(土曜日のみ9:00~20:00)※常設展示および特別展示室の入館受付は閉館の30分前まで
休館日:毎月第3木曜日、年末年始、特別整理期間
常設展観覧料:大人一般300円(団体240円)/小中高校生一般100円(団体80円)
※5月26日まで企画展「平成と港区」を特別展示室にて開催中(企画展のみの観覧は大人一般200円)

Navigator:Mademoiselle YULIA Photos & Movie:Hiro Nagoya Text:Mika Koyanagi


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