武蔵 by アマン(アマン東京)熟練した職人と日本の美学が織り成す、待望のすし店

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檜カウンター、墨を使用した左官、白漆喰、楠の板の壁などが、風情漂う空間に。カウンター8席のほか、4名掛けのテーブルが2卓ある。

「武蔵 by アマン」が誕生したのは、「アマン東京」の開業から4年後の2018年10月。聞けば、その土地の文化や伝統を尊重する哲学を持つアマンにとって、東京で江戸前ずしをオープンすることは、ホテル開業当時からの夢だったそう。そして、多くの職人が活躍する東京の中でも、武蔵弘幸さんに白羽の矢が立った。

 34階にある店内に入ると、まっすぐに続く檜のカウンターにゆったりと椅子が配され、墨を使用した左官、白漆喰、楠の板の壁などが優美な空間をつくり上げている。日本の伝統的な美意識を大切にしている点も、アマンと武蔵さんの共鳴し合う点。カウンターには、武蔵さんが好む、田中茂雄さんの作品が飾られている。日本酒を提供する際に使う、江戸切子のバリエーションも壮観だ。

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「武蔵 by アマン」の大将・武蔵弘幸さん。1967年、山梨県生まれ。18歳ですしの世界に入り、父から継いだ実家のすし店を15年切り盛りした後、37歳の時に上京。

「武蔵 by アマン」のオープンにあたり、武蔵さんは自身が12年間守り抜いてきた青山の店を閉めて挑んでいる。50歳を超えてのこの決断は、並々ならぬ覚悟だろう。しかし、これまで続けてきた江戸前ずしの仕事においては何ら変わりはなく、その日、その魚を一番美味しく食べるための仕事を施すだけだという。「次の世代の育成にも力を入れたい」という思いも、舞台をホテルに移した理由のひとつだ。

 仕事に対しては厳しいが、ゲストに対しては非常に朗らか。自身が情熱を込めるすしという文化を知ってほしい、楽しんでほしいともてなす。カウンター越しに望む、武蔵さんの鮮やかな動きにも日本文化を感じる。