の弥七
名残、旬、走りを盛り込んだ、花山椒の香る爽やかな鍋

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この日の花山椒は滋賀県産。鱧は、熊本県天草産。グツグツと煮える土鍋に、食欲がかき立てられる。写真は2人前。夜のコース(¥16,000、¥23,000)からの一例。

 まるで花が咲くような美しい鱧は、丁寧に包丁を入れ、一度揚げてから鍋へ。鶏と昆布に、金華ハムや鱧の骨を加えて出汁をとった清湯(ちんたん)スープには、大根のすりおろしを加え、名残雪のような演出に。湯がいて氷水にさらした花山椒を添えれば完成だ。食べ進むにつれて、花山椒の緑色がスープに移っていく様子も風情がある。スープの最後の一滴まで飲み干したくなる奥深さだ。

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山本眞也氏。1979年高知県生まれ。大学に進学すると、4年生の頃から本格的に修業を始める。2014年、荒木町に「の弥七」を独立開業し、16年に現在の地に移転。

「の弥七」の店主・山本眞也さんは、26歳で単身上海に渡る。帰国後、白金台「周中菜房 白金亭」、三田「桃の木」で6年間研鑽を積んだ腕の持ち主。店名は、父親が営む中国料理店「風車」に敬意を込め、それに続く「の弥七」と命名した。

 山本さんが手掛ける料理は、和を思わせる非常に繊細で優しい口当たり。しかし、そのなかに凛とした中国料理のテイストが存在する。今春の新作である花山椒の鍋もまさにそんな逸品だ。「花山椒という日本料理の食材に、中国料理ならではのアレンジを考えました。大根おろしを雪に見立てて名残を表現、花山椒は旬、鱧は走りと、季節を盛り込んでいます」と山本さん。