未来のクラシックを予感させる、ローズの新たな解釈。

天才調香師ジャン=クロード・エレナの新境地を示す、リュクスなパルファム。希少なブルボン ゼラニウムとティムット ペッパーで表されたローズノートに、イソブチル キノリンという香料によるレザーノートをプラス。極めてシンプルな設計でありながら、漂う香りは、鮮烈で、奥行きがあり、かつタイムレス。フレデリック マルにしかなし得ないドラマチックな薔薇の解釈だ。ローズ & キュイール 100ml ¥36,000/フレデリック マル
[画像のクリックで拡大表示]

 ここに紹介するローズ & キュイールは、「フレデリック マル」のもっとも新しい作品だ。調香師はジャン=クロード・エレナ。長くエルメスの専属調香師を務めた、伝説的クリエイターだ。かねてから親交があった彼とマルは、ジャン=クロード・エレナの師、エドモン・ルドニツカのかつてのラボを訪れる。そこで出合ったのは麗しい薔薇の香り。ふたりはたちまち、「新しいローズのパルファムを創造したい」との想いを共有したという。しかし、世の中にはすでに多くのローズの香りが存在する。そこでふたりは、「ローズの香りでありつつ、ローズそのものを使わないパルファムを」という、ある種矛盾をはらんだ発想に思い至る。そうして約1年の月日と300回以上の試作を経て、この“問題作”は完成したのだ。

 用いられた香料はわずか15種。数十から数百の原料を用いることも珍しくないパルファムの世界で、この数はかなり少ない。それでいて香りに豊饒さが感じられるのは、予算や時間に糸目をつけない素材探求の賜物だ。核となるのは、ブルボン島に育つ原種を用い、最新の技術で蒸留されたゼラニウム。そして、香料を抽出するところから始めたネパール原産のスパイス、ティムット ペッパー。これらの天然香料が醸す甘い匂いに、レザーを表すノート、さらにベチバーやシダーのドライさ、また柔らかなムスクが加わり、ネーミングの通り「薔薇と革」が姿を現す。明るいようでダークで、静かなようで野性味があり、色香があるようで禁欲的……二面性を持つ香りは、まがう方なき“ローズ”でありながら、ローズと聞いて私たちが思い浮かべるイメージを鮮やかに裏切る、複雑味にあふれている。その味わいによりローズ & キュイールは、パルファム界のマスターふたりにとっても、新たな世界を見据えた作品となった。

 ひと吹きすれば、革の向こうからふわりと薔薇が香り立つ。退廃と優雅を帯びたローズは、一筋縄ではいかない印象を、まとった人に、そして相対する人に残す、まさに“反逆のローズ”なのだ。

リュクスパルファムの申し子、フレデリック・マル。

ブランド創設者のフレデリック・マルは、祖父はパルファン・クリスチャン・ディオールの創設者、母親はその部門で要職を務めたという家庭に育まれた、いわばパルファム界のサラブレッド。若い頃には、名門香水ラボラトリーのルール・ベルトラン・デュポン社で研鑽を積み、多くの調香師とも交流を重ねた。こうした豊かな経歴を経て、パルファムについての造詣を深めたフレデリック・マルの香り哲学は、他ブランドとは一線を画している。
フレデリック マル
お客様相談室 TEL:0570-003-770
https://www.fredericmalle.com/jp