映画 『利休にたずねよ』の題字などを手がけ、さまざまな活動が注目される書家の木下真理子さんが、日本のパワースポットを訪れる企画の第4回。

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奈良盆地の南東部(桜井市)にある、標高467m、周囲16㎞の美しい円錐形をした三輪山(みわやま)。古松、老杉などの木々に覆われ、一木一草に至るまでが神宿るものとして尊ばれている。

「平成」の30年を経て、時代は「令和」と名付けられた新しい時代に移りました。古来、日本人は元号に願いを込め、祈りを捧げてきたとされています。かつては畏怖すべき出来事が起こると、元号を変えることもあったようです。先人たちは目に見えない何か大きな力が働いていることを、敏感に感じていたのかもしれません。

 一方、現代人は日々の暮らしにおいて、データ化された情報を指標に事象を判断したり、既にある物事や価値観に囚われながら生きているような気がします。そして自分と他人とを比較し、自分への過度なこだわりを持つなど、自意識過剰に陥って、疲弊してはいないでしょうか。

 書道には、「のどかな心持ちになれば筆も伸びやかに動く」の意で「神融筆暢」なる言葉があります。たまには大自然の中で呼吸をしたり、悠久の歴史を辿りながら、“自分らしさ”という呪縛から解き放たれたいものです。

「洗心パワースポット 奈良編」では、今なお自然信仰が随所に残っている、“まほろば”奈良を旅していきます。

太陽信仰を想起させる、三輪山からの日の出

 奈良県桜井市にそびえる三輪山は、かつてJR東海のCMにも登場した観光スポットです。とはいえ、この山はみだりに入ることが許されない禁忌的な性格を持っており、厳粛で神聖な世界が広がっています。

 古の時代より、日本人は山を“カミ(神)”として仰いできました。三輪山も山全体が霊気を帯びた「神奈備(かむなび・かんなび)」と捉えられています。

 私は旅の始めに、この三輪山の日の出を拝みたいと思いました。

 早朝5時半より、冷たくも清新な空気の中で静かに待つことおよそ1時間。三輪山の向こうに見える空が刻一刻と色差しを変えていき、待望のお日様がその姿を現すと、私は幸せな気持ちに包まれました。

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『万葉集』や『古今和歌集』の中にも三輪山について詠まれた和歌が収められ、古くから思慕や信仰の対象となっていたことが窺える。昔は「御諸山(みもろ・みむろ)」、「美和山」などとも記された。

 そして日の光に輝く大地の息づかいを感じながら、遥か昔の大和の人々の暮らしを垣間見たような気がします。

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