日本の伝統技術によって醸し続けられる国酒「日本酒」。その魅力をより深く知るため、毎月キーワードごとに、象徴する3本を紹介する。今月は、日本酒の香味を大きく左右する「酵母」に注目。

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数多くの種類がある日本酒酵母のなかから、今回は注目すべき3種類をピックアップ。今、最も多くの蔵が使用しているといわれる「7号酵母」、日本酒の新たな可能性を感じる「ワイン酵母」、香川県酒造組合が独自に開発した「さぬきオリーブ酵母」だ。

“7号酵母”発祥の蔵によるフラッグシップ「真澄 漆黒 KURO 純米吟醸」

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「真澄 漆黒 KURO 純米吟醸」720ml ¥1,620

「協会7号酵母」が宮坂醸造の諏訪蔵で発見されたのは1946年。その後、日本各地の酒蔵がこぞって採用し、優良清酒酵母として有名になった。この通称「真澄酵母」は、近代酒質確立の礎を語るうえで欠かせない存在といえる。「7号酵母で醸す酒には、風土の気配と造り手の意思が、素直にありありと映し出せる」とは、長年7号酵母を使い続けている宮坂醸造の言葉。発見から半世紀以上、多様化する現代の食卓においても、穏やかで飽きのこない飲み口とほのかな酸味は、食事と調和し、しっくりと寄り添う。

 2019年に宮坂醸造では、原点に立ち返り、すべての製品を7号酵母仕込みに転換することを決意。その大きな改革の第1弾として登場したのが「真澄 漆黒 KURO 純米吟醸」だ。酒銘にふさわしい透明感と、シャープに膨らむ旨味を併せ持つ調和あるテイストだ。ラベルに描かれているのは、新たなシンボルマークである水鏡に映り込む一枚の蔦(つた)の葉。同時に「真澄 真朱 AKA」、「真澄 茅色 KAYA」、「真澄 白妙 SHIRO」もリリースされている。いずれも日本の伝統色から命名し、日本酒が生まれる景色や味を想起させてくれる。


宮坂醸造
長野県諏訪市元町1-16
TEL:0266-52-6161
https://www.masumi.co.jp/

フランス産“ワイン酵母”で新境地を切り開く「鳳凰美田 WINE CELL 純米吟醸」

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「鳳凰美田 WINE CELL 純米吟醸」720ml ¥1,800

 数年前から、清酒酵母のかわりにワイン酵母で醸す日本酒が増えてきた。デザインもワインを彷彿させるようなスタイリッシュなものが多く、人気を集めている。冷やした状態でワイングラスに注いだ後、徐々に常温に近づくにつれて変化する風味が楽しめるので、花開くように個性を感じられるだろう。ワイン酵母の風味が日本酒に反映されることによって、フランス料理やイタリア料理などとの相性も広がる。日ごろ、日本酒になじみの少ない人も魅力を知ることができる、日本酒人気の裾野を広げるような存在になっている。

 小林酒造が、ワイン酵母を使用するようになったのは今から20年前。「日本酒の可能性をもっと感じていただきたい」という願いのもと、交友があるフランスのワイナリーから譲り受けたワイン酵母によって「鳳凰美田 WINE CELL 純米吟醸」が誕生した。ワイン酵母由来の熟した果実のようなエレガントな風味と、引き締まった酸味が印象的だが、その一方で兵庫県西脇地区の山田錦を55%まで磨き上げた、日本酒ならではの凛とした風格も健在。ワインクーラーに入れても、水ではがれにくいラベルを使用する計らいも粋だ。


小林酒造
栃木県小山市大字卒島743-1
TEL:0285-37-0005

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