エリック:家業を継ぐことについて、両親から何かを言われたことは一度もなかったのですが、学校を出たときに決めた、というよりも父の死がきっかけで決断したのかもしれません。当時私は15歳でしたが、いっさい悩まずにこの道を選ぶことができました。

明日香:15歳で迷いなく人生の決断ができるなんて、すごいですね。お父さまがご存命だったら、とても喜ばれたでしょうね。

エリック:そうであればうれしいですね。父も伝えたいことがたくさんあったのではないかと思います。

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〈左〉ワインの神様サン・ヴァンサンの山車。 〈右〉テイスティングルーム。アンティーク調の絵画は友人の画家によるもの。

明日香:エリックさんは、メゾンの近くにホテルも経営されていますよね。

エリック:はい。ル・クロ・デ・テール・スーデという、5部屋のみのゲストハウスで、5年前にオープンしました。レストランはないのですが、お客さまにはうちのシャンパーニュと朝食を楽しんでいただけます。

明日香:ホテルをやろうと思ったきっかけは何でしょうか?

エリック:以前からここには、ワイン関係者の方々が来られる際にゲストハウスとして宿泊してもらっていたのですが、そうしているうちに、もっと多くの方に滞在を楽しんでもらえるのではないか?と考えるようになりました。また、さまざまな方に自分のシャンパーニュを楽しんでもらえるチャンスでは、と思ったんです。のちほどご案内しますね。

明日香:すごく楽しみです!

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畑にて、エリックさん(中央)、息子のエドガールさん(左)と。

明日香:(畑に移動して)ロジェ・クーロンの畑について教えてください。

エリック:全体で11haほどの土地に、109のパーセルがあります。このあたりはモンターニュ・ド・ランス地区に位置するのですが、この地を境に土地が平坦になるんです。

明日香:でもこの、いま平坦だとおっしゃったエリアにはブドウ樹があまりありませんね。

エリック:はい。なぜフラットな場所に植えていないかというと、土壌がリッチすぎていて、逆によいワインを造るためのブドウが育たないんです。土壌は、平らな土地よりも、斜面のほうが痩せているので、ブドウ樹の根が深くまで入り込み、よいブドウが育ちます。

明日香:なるほど。平らなほうは土壌が豊かすぎるんですね。痩せた斜面の土壌のほうは、具体的には、どんな土壌でしょうか?