理論物理学の博士号をもち、有名進学予備校で数学の講師を務める一方、自ら主宰するソムリエスクールで教鞭を執るほか、飲食店経営やワインと日本酒の輸出入業も行うなど、ユニークかつパワフルに活動するワイン研究家、杉山明日香さん。本連載では、彼女が毎月視察に訪れるというシャンパーニュ地方の新潮流にフォーカス。

シャンパーニュ造りの背景を、スティルワインのテイスティングで味わう

[画像のクリックで拡大表示]
醸造については主に息子のエドガールさんが説明してくれた。

「杉山明日香のシャンパーニュ紀行」第11回は、モンターニュ・ド・ランス地区にあるロジェ・クーロンをご案内します。後編のインタビューでは、8代目当主のエリック・クーロンさんに加え、次期当主となる息子のエドガールさんも一緒にお話しさせていただきました。

明日香:(ドメーヌの醸造所にて)収穫後の作業について教えてください。

エリック:109あるパーセルで収穫したブドウは、できるだけそれぞれ別にプレスをかけます。プレスは最低でも50回は行います。

明日香:パーセルは109もあるのに! プレスはスピードが求められる作業ですが、相当な回数ですね。

エリック:もう本当に忙しいですよ(笑)。すべてをきれいにプレスした後に、どうブレンドするかを考えなければなりません。プレスの結果がシャンパーニュのクオリティを左右するので、とても重要なんです。ただ、109のパーセルといっても、パーセルの中には1レーンしか収穫しない場合などもあるんです。そういった収穫量の少ないパーセルについては、特徴が似ているパーセルと一緒にプレスを行っています。プレスは、全体で120樽分ぐらいでしょうか。

[画像のクリックで拡大表示]
エドガールさんは、特に樽のローストについてさまざまな実験中とのこと。

明日香:本当に大忙しの作業ですね! エドガールさんはいま25歳とお伺いしました。ワインの学校には行かれたのですか?

エドガール:父と同様に、アヴィーズの専門学校に行きました。卒業後は、オーストラリアのバロッサ・ヴァレーやニュージーランドのマーティンボロへ研修に行き、実地で学びました。ほかにも、ブルゴーニュやイギリスなどでもトレーニングを受けたことがあります。

明日香:ニューワールドでも多くを学ばれたんですね。ブルゴーニュでのトレーニングはよく聞きますが、オーストラリア、ニュージーランドというのはユニークですね。