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中島功太郎氏。1978年福岡県生まれ。地元の生簀(いけす)割烹で修業をスタート。24歳で渡米し「Matsuhisa」へ入店。帰国後、渋谷の寿司店「秋月」、日本料理「かんだ」で研鑽を積む。

 ミシュラン三つ星を維持し続けている元麻布の「かんだ」で、およそ10年間じっくりと研鑽を積んだ中島功太郎さんが、40歳を迎えた昨年、念願の独立を果たした。「『かんだ』で働いていたときは、この季節になるとひたすら鮎を焼いていました。夏の訪れを感じる大好きな食材です」と振り返る。鮎は個体差が大きい魚なので、どう見極めて焼き上げるかが腕の見せどころだという。シンプルな料理ゆえ、ごまかしがきかないのだ。

 鮎を口に運ぶと、ひと口ごとに全く違った味わいがありハッとさせられる。「鮎の苦みに重なるような、泡たっぷりのビールが合いますね」と語る一品は、コース前半で供される。今年は氷締めの手法にも挑戦していきたいと話す。

丁寧な技と独自の感性を料理に投影

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7席のカウンターは凛とした雰囲気の中に、角に丸みをもたせたデザインが優しさを感じる。白と赤がテーマカラーで、折敷やナプキン、絵画にも赤が使われている。ほかに個室が1室ある。

 2018年4月に誕生した「久丹」が店を構えるのは、銀座からもほど近い大人の風情漂う街、新富町。近年、名店出身の料理人たちが次々と店を構える、食通が注目するエリアとなっている。扉を開けると、立派な秋田杉の椅子が置かれたウェイティングスペースが広がる。中島さん曰く「グランメゾンに匹敵する価格設定の日本料理店ならば、同等の居心地のよさを用意しなくてはいけません」。店名「久丹」とは、中島さんによる造語。「久」には永遠、「丹」は赤と真心(まごころ)の意味を持つ。自身の名を冠していない理由は、誰が継いでも何代も愛され続ける店になるようにという思いが込められているからだという。

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北海道産のキンキを3枚におろし、炭火で仕上げ、煮つけのように仕立てている。肝とゴボウを添えて。仕上げに飾った木の芽が爽やかに香る。

 料理は12~14品で構成されるおまかせのみ(¥25,000)。前半に登場する鮎のような軽やかな魚料理に対し、こちらは後半に登場する一品だ。カラリと香ばしい皮目、しっとりとした身、濃厚な肝、食感のいいゴボウ、と口に運ぶたびに多彩な表情をみせてくれる。器にはった汁は、キンキの中骨や肝を炊いたもので、丁寧な仕事を感じる奥深い味わい。以前は、コース後半にスッポンを提供していたが、これからは鰻も取り入れていくそう。「京都ではなく、東京で味わうドラマチックな日本料理」をご堪能いただきたい。

久丹
住所:東京都中央区新富2-5-5 新富MSビル 1F
TEL:03-5543-0335
営業時間:11:30~14:00、18:00~22:00最終入店
定休日:日曜、祝日
※価格は税込み・サービス料10%別