堅苦しく考えず、自分にできる社会貢献を

──そうした活動を経て、消費者庁の「エシカルライフスタイルSDGsアンバサダー」就任へつながったんですね?

そうだと思います。ジョイセフのアンバサダーに就任した時期から環境破壊について学ぶ機会もいただき、取材で熱帯雨林などに行ったりもしましたし。ただ、SDGsって17項目もあり、個人目標から企業が掲げるグローバル目標まで、本当に幅広いんです。もっと勉強しなきゃいけないなと思っています。

ドレス/ADEAM
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──今回のショートショート フィルムフェスティバル & アジアを含め、カルチャーやファッションの世界でも、SDGsにリンクした動きは活発化していますよね。

ファッション業界では、今やどこのブランドもそうした活動を、何かしらしていると思います。女性のエンパワーメントとか、環境問題、水とか森とか、乳がんとか。モデルでもある私だからこそ、そこに関わっていく意義があるかなと思っています。
まだ具体的に何ができるかはわかりませんが、とりあえずはいろいろな場所でお話をして周知すること。やっぱりひとりひとりが意識しなきゃいけない時代だと思うし、でもあまり堅苦しく考えずに「自分の心を豊かにする」という気持ちで、ブレずに活動を続けていきたいです。

──冨永さんと同世代の30代女性は、自分と社会の関わりを意識しつつも、自分だけでは何もできないと諦めてしまう人も多いのかなと。未来を変えるためのアドバイスを何かいただけますか?

震災のときって、多くの方が寄付をしましたよね。それはたぶん、自分の親類や友人、あるいは知人の誰かしらが被災し、身近な問題と思えたからということも大きかったでしょう。日本人には「お金だけ渡す」ことが失礼に当たるような感覚がありますが、それが地球の裏側の困っているお母さんたちや、被災者を支援することになるので、考えすぎずに参加していただけたら嬉しいですね。
もちろん寄付に限らず、よりよい社会環境のためにできることはあると思います。たとえば家で使う洗剤を環境に優しいものにするだけでも全然違うと思うし。
「触れる地球」(リアルタイムの気象情報や地震・津波、渡り鳥など生物の地球移動、大気汚染、地球温暖化など、生きた地球の姿をダイナミックに映すデジタル地球儀)を発案した京都造形芸術大学の竹村真一先生が、「人間はガリバー化した」とおっしゃっているんですよね。巨大なガリバーがバーン! と一歩踏み出すと、周辺にいる動植物が破壊されてしまう。ひとりひとりの1アクションが、すごく大きな影響力を持っているんだよね、と。それを聞いて、確かにそうだなってすごく思ったんです。マイボトルを持つだけでも、「今日はプラスチックの量を減らせたな」って思えば気持ちがいい。そういう小さなことが積み重なって、世界を変えていくんだと思います。

冨永 愛
17歳でNYコレクションにデビューし、一躍話題となる。以後約10年間にわたり、世界の第一線でトップモデルとして活躍。その後、拠点を東京に移し、モデルのほか、テレビ、ラジオ、イベントのパーソナリティなどさまざまな分野にも精力的に挑戦。日本人として唯一無二のキャリアをもつスーパーモデルとして、チャリティ、社会貢献活動や日本の伝統文化を国内外に伝える活動など、活躍の場を広げている。

Photos:Yow Takahashi(Portrait/Rooster) Interview & Text:Shiho Atsumi Styling:Keiko Shimizu(SIGNO) Hair:EIJI KADOTA(SIGNO) Makeup:ITSUKI(UM) Edit:Kao Tani


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