日本の伝統技術によって醸し続けられる国酒「日本酒」。その魅力をより深く知るため、キーワードごとに、象徴する3本を紹介する。今月は、王道から変化球まで個性豊かな、日本酒で仕込んだ「梅酒」をセレクト。

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梅の実が収穫を迎えるこの季節。蒸し暑い気候のなか、酸味がきいた爽やかな梅酒は心地よく味わえる。今回は、焼酎で仕込むタイプではなく、秀逸な日本酒を醸す酒蔵による、オリジナリティあふれる梅酒を厳選して紹介する。

日本一に輝いた、艶やかでまろやかな「山形正宗 熟成梅酒」

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「山形正宗 熟成梅酒」720ml ¥3,000

 梅酒の日本一を決める品評会「天満天神梅酒大会」で優勝した一本。丁寧に醸し、熟成した日本酒で梅を漬け込み、さらに熟成させている。時の経過によって生まれたまろやかな口当たりで、実に凝縮感のある飲みごたえ。艶やかな琥珀色が美しく、長い余韻とともに感じる酸味が心地よい。こちらの熟成タイプの他、同様に日本一に輝いた定番の「梅酒」や、とろみを増した「とろとろ梅酒」も製造する。梅酒ブームにもともと遅まきで造り始めたこともあり、奇をてらわず、オーソドックスに美味しさを追求したという。

 明治31年(1898年)、将棋の町として有名な山形県天童市に創業した水戸部酒造。仕込み水として使用する奥羽山系の伏流水は、硬度は約120と全国の蔵元の中でも有数の硬水であることから、そのキレのよさに“名刀山形正宗”とも呼ばれる。造りにおいては、江戸時代以前から伝わる「槽(ふね)」という伝統的な道具を使用して酒を搾ることで、より自然で雑味のない酒質を生み出している。2004年より、蔵と同じ地で酒米の自家栽培を開始。徐々に栽培面積を広げ、2018年には農業生産法人「株式会社水戸部稲造」を設立するまでになっている。


水戸部酒造
山形県天童市原町乙七番地
TEL:023-653-2131
http://www.mitobesake.com/

通常の数倍の南高梅を贅沢に使って仕込む「鶴梅 すっぱい」

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「鶴梅 すっぱい」720ml ¥1,200

 梅の生産量が日本一である和歌山県の、代表品種といえば南高梅。そのなかでも最高の産地とされる南部(みなべ)の梅を中心に使用した梅酒は、梅の風味を象徴する「すっぱい」を最大限に引き出すため、完熟した南高梅を通常の数倍も使用。そのままだとすっぱくなりすぎてしまうが、1年熟成させることで、深みとまろやさが生まれ、バランスも整っている。「鶴梅」シリーズは、完熟やにごりの梅酒の他、いちごや夏みかんなども展開。梅の花と鶴をモチーフにした愛らしいロゴを目印にチェックしていただきたい。

 平和酒造の代表銘柄である「紀土」は、“紀州の風土”と“KID”から。子どものような天真爛漫さをイメージし、また若いファンを育てていきたいという思いも込められている。昭和3年(1928年)に創業後、幾度か廃業の危機にもさらされたが、現在では日本酒業界をリードするような存在に。様々なコンペティションでの受賞歴を誇る一方、今回紹介した「鶴梅 すっぱい」をベースにした「キットカット」が発売されるなど、幅広い層に親しまれている。2020年6月には、コンセプトショップの「平和酒店」を和歌山市にオープンした。


平和酒造
和歌山県海南市溝ノ口119
TEL:073-487-0189
http://www.heiwashuzou.co.jp/wordpress/