運河や水路、クラシックな橋や建造物、そしておいしい食事。一度訪れたら忘れられない思い出が残るヴェネツィアを再び旅するなら、アートを目的に巡るのも一興。今年は“現代アート界のオリンピック”とも称される大型の国際美術展、ヴェネツィア・ビエンナーレが11月24日まで開催されている。気になる見どころを、いち早く現地取材を敢行したアートジャーナリストの住吉智恵さんがレポート。

今だからこそ触れたい、アートの本質的価値

[画像のクリックで拡大表示]
イランのアーティストによるサテライト展示。長い歴史の重みを感じる建物と現代のアートが見事な競演を見せる。

 この5月、世界最古にして最大の国際美術展、第58回ヴェネツィア・ビエンナーレが開幕した(会期は~11月24日)。

 中世の姿を変わらずとどめる、世界でも稀有な古都ヴェネツィア。迷路のように入り組んだ市街を運河がつなぐこの美しい都市に、2年に一度、現代を代表する先鋭的なアートがあふれる。宮殿や聖堂、海軍施設など歴史的建造物にアートが侵蝕し、毎週どこかでコンテンポラリーダンスや音楽のイベントが行われ、開催年ならではの光景に出合うはずだ。

[画像のクリックで拡大表示]
[画像のクリックで拡大表示]
水の都、ヴェネツィアは絵になる風景がいっぱい。ぶらりと散策するのが楽しい。

 今年注目したいのは、メインプログラムの企画展に選ばれた79組のアーティストのうち、女性作家と40歳以下の作家の割合が初めて半数を超えたこと。また、世界90カ国が参加する国別パビリオンには、ガーナ、マダガスカル、マレーシアとフィリピンが初参加。メイン会場に収まりきらない多くの展示が、島の全域に散らばることとなった。

[画像のクリックで拡大表示]
メイン会場のジャルディーニはサン・マルコ広場からも歩いて行ける距離。広大な庭園内に各国のパビリオンが点在する。