暑い季節こそ楽しみたい「夏酒」の魅力とは

「夏といえばビール」というイメージが強いが、酒販店や百貨店の日本酒売り場の冷蔵庫には「夏酒」が多く並んでいる。ボトルやラベルでも青や白といった涼しげな色合いを基調に、花火やヒマワリ、スイカといった夏らしさをデザインしていることが多い。

 伝統文化である日本酒だが、「夏酒」という呼び方が生まれたのは実は最近のこと。唎酒師(ききざけし)などの認定をしている協会「SSI」によると、2007年頃からだという。日本酒は寒い季節に楽しむイメージが強く、売り上げが伸び悩む夏にも手にしてほしいという日本酒業界の戦略でもある。年々、発売が早まっているようで、アイテムによっては5月にリリースされる商品も。数量限定であるため、売り切れる前にぜひチェックしていただきたい。

 ひと口に「夏酒」といってもタイプは多彩で、酸味のきいたすっきりとしたタイプや、フレッシュな口当たりの生酒、キレのいい骨格がしっかりした原酒、栄養が詰まったにごり酒、低アルコールなどさまざまだ。明確に定義されている言葉ではないため、それぞれの蔵が思い描く、暑い日に美味しく感じる日本酒が個性的に表現されている。

 夏らしいさっぱりとした料理には、すっきり軽やかなタイプをバーベキューや鰻などスタミナ料理には、骨太で旨みのあるタイプを……と、夏酒のバリエーションを楽しむのもいいだろう。アルコール度数の高いタイプなどは、ロックアイスやクラッシュドアイス、炭酸水を加えても涼を演出できる。飲み方にもルールはないので、ぜひ自由にアレンジして夏の日本酒を楽しんでいただきたい。

外川ゆい
フードジャーナリスト。
外川ゆい 1980年生まれ。グルメ誌やライフスタイル誌を中心に、レストラン、ホテル、お酒など、食にまつわる記事を幅広く執筆する。なかでも日本酒をこよなく愛し、蔵元とお酒を交わす時間がなによりの至福。相手への敬意を込め、常日頃から和装。

Photos:sono(bean) Text:Yui Togawa Edit:Mizuho Yonekawa

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