パリで若くして3つ星を獲得した世紀の料理人、ジョエル・ロブション氏。衝撃の引退後、愛弟子たちの熱い想いに応え再度返り咲き、世界で最も星の多いグラン・シェフとして君臨する、彼の生き方に迫る。

※本記事は2018年3月にパリで行った取材をもとに執筆したものです。2018年8月6日、ジョエル・ロブション氏は逝去されました。私たちに未来の展望を笑顔で語ってくださった偉大なる巨匠が、志半ばにして旅立たれたことは誠に残念でなりません。心よりご冥福をお祈りいたします。[2018.08.07]

「多くの人の暮らしに寄り添う、手頃で美味しいものを」

[画像のクリックで拡大表示]
[画像のクリックで拡大表示]
[画像のクリックで拡大表示]
[画像のクリックで拡大表示]
1 ロブション氏が監修するフルーリー・ミションのレトルト食品。食品添加物不使用にこだわっている。 2 フルーリー・ミションのローラン・マルコ氏は、かつてはジャマンで働いていた料理人。 3 ホタテとサフランライスも人気の一品。 4 同じくロブション氏が監修するルフレ・ドゥ・フランスの食品も、フランスの家庭ではおなじみ。

 ジョエル・ロブション氏は商品開発のプロデュースも数多く手がける。そのひとつに、レトルト食品を扱う「フルーリー・ミション」との仕事がある。

「フルーリー・ミションとの関係は30年にわたります。大量生産のレトルト食品の取り組みに対し、世間から批判を受けることもありますが、いわゆるガストロノミーの世界だけでなく、大勢の人が口にする食のフィールドに関わることも大切なこと。食品添加物を入れず、少しでも質のいいものを作るようにアドバイスをすることは、私の料理人としての使命と考えています」。

 ジョエル・ロブションの名が冠された同社のレトルト食品は、現地のスーパー「モノプリ」などで購入可能。「鴨のパルマンティエ」は週に2万個も売れる大人気商品だとか。

 フルーリー・ミションには、ジャマン時代に働いていたシェフのローラン・マルコ氏が勤務し、レシピなどの管理をしている。実際に鱈のパルマンティエやホタテを用いた料理などを試食してみると、風味が豊かで、かなりの美味しさ。

「2カ月に1回は彼らの会社に出向き、毎週月曜には自分のラボで、スタッフたちとこれらの食品を試食。品質のチェックを怠りません。また、仕事のパートナーとの人間的なつきあいは、私にとってとても大切なものです。その上に真のビジネスが生まれると思っているからです」とロブション氏。彼は自分が関わる仕事に対して、一切の妥協を許さない。

 このほか、大手スーパーのカルフール・グループが扱う人気商品、「ルフレ・ドゥ・フランス」シリーズも監修。缶詰、瓶詰、ジャム、ソーセージ、お菓子などラインナップが幅広く、バスクやコルシカといったフランス各地の味を手軽に楽しめる加工食品の数々は、人気デパートのギャラリー・ラファイエットなどでも販売されている。