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〈左〉熟成中の2016ヴィンテージの「ミネラル」。 〈右〉パスカルさんがシャンパーニュ造りを始めた1981年の貴重なミレジメ・シャンパーニュ。

明日香:そのような決意があって、今、お父さまと一緒に働いていらっしゃるんですね! アンブロアーズさんの熱意を感じます。
 パスカルさんは、これまでのおじいさまとお父さまのシャンパーニュ造りと、ご自身のシャンパーニュ造りとを比べると、世代交代に伴い、考え方などに変化があったと思いますか?

パスカル:私は農業を学んできたこともあり、もともとブドウを食材として扱うアプローチをしていました。畑を継ぐ前に、我が家の畑で作るブドウの味わいがすべて同じなわけがない、と疑問を持っていたので、新しい畑を買ってもらった際に、元からある土壌と新しい土壌それぞれのブドウを活かしたい、とパーセル(区画)ごとで考えるようになりました。

明日香:確かに、パスカルさんのシャンパーニュには、区画の違いからくるのか、それぞれとても個性を感じます。

パスカル:ありがとうございます。もともとはレゼルヴという数年寝かせたプレスティージュ(その生産者の最高級品)とミレジメ、ノン・ミレジメの3つのキュヴェだけリリースしていたのですが、ラインナップを変えていったんです。

明日香:実際にパスカルさんによって生み出されたキュヴェについて教えてください。

パスカル:私が継いだのは1981年ですが、「ミネラル」というキュヴェは85年、「アヴィゾワーズ」は89年に誕生しました。これらのキュヴェは、パーセルごとにテロワール(土壌)の違いを表現したいと思い、造りました。

明日香:どんなアプローチで取り組まれてきたのでしょうか。

パスカル:私の父はヴァン・ド・レゼルヴ(ベースとなるスティルワイン)を保存しておらず、毎年使い切っていたんです。なので、継いだ当初は1年分のワインしかなく、単一ヴィンテージで造るしかありませんでした。それからは、毎年、気候や土壌との闘いですね。常に向き合っていく必要がありますが、そうやって作るほうがよいブドウになりますし、仕事の面白さもあります。

明日香:つまり、毎年ミレジメ・シャンパーニュになってしまっていた、というのは、シャンパーニュにおいては、ある意味画期的なことですね。

パスカル:そうですね。私ほど、後を継ぐなり試行錯誤した人はいないのではないかと思うぐらい、本当に考えていました。