日本の伝統技術によって醸し続けられる国酒「日本酒」。その魅力をより深く知るため、キーワードに沿って、象徴する3本を紹介する。今月は、周年記念を迎えた3つの蔵が醸す、特別なアニバーサリーのお酒をピックアップ。

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酒蔵の多くが、節目の年にはこれぞという記念酒をリリースする。今回は、100周年、150周年、330周年を迎えた3つの蔵をセレクト。いずれも伝統を重んじ、その銘柄らしい個性が感じられつつ、新たな試みにも挑んだ渾身の一本となっている。

100周年を記念した100%愛媛県産の「石鎚 純米大吟醸 VANQUISH」

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「石鎚 純米大吟醸 VANQUISH(バンキッシュ)」720ml ¥10,000

 “酒造りは、常識を打ち破ることで進化する。”という想いをもとに醸された一本。そのビジュアルからして、定番商品のどこかレトロで風情あるラベルとは対照的で、シャープでスタイリッシュな印象を受ける。ボトルには伊予水引が飾られ、専用ボックスは西日本で最高峰の山、石鎚山をモチーフにしたデザイン。愛媛県産の松山三井を極限の25%まで磨き上げ、昨年2月の仕込みから、長期低温で約30日間発酵させ、純愛媛県産の純米大吟醸が誕生した。凛としたエレガントな香りと、繊細で柔らかな味わいが調和している。

 石鎚酒蔵の創業は、大正9年(1920年)。蔵を構える愛媛県西条市は、良質な自噴水「うちぬき」で有名で、石鎚山からの清冽な仕込み水に恵まれたエリア。平成11年に杜氏制を廃止し、家族を中心とした体制になっておよそ20年がたつ。レギュラー商品や季節ごとに登場するお酒のほか、鰻と共に楽しむことを考えた「石鎚 純米 土用酒」など、独自のアプローチもユニーク。一貫して「食中に活きる酒造り」をモットーに、「3杯目からグッと旨くなる酒」を目指している。小規模ながら、多くの根強いファンを持つ蔵だ。


石鎚酒造
愛媛県西条市氷見丙402-3
TEL:0897-57-8000
https://www.ishizuchi.co.jp/

人と自然、地域、未来をつなぐ「手取川150周年記念酒」

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「手取川150周年記念酒」720ml ¥7,777

 純白の円柱の箱をスライドさせると“制約があるから進化がある”という言葉と、それに続いてコンセプトが現れる。150周年を迎えた吉田酒造店が挑むのは、自然と共存する、持続可能な酒蔵。そんな未来を表現したのが、この記念酒だ。原料米は石川県の新しい酒米「百万石乃白」。水も酵母も地元にこだわり、石川県が得意とする山廃仕込み。味わいは、パッケージやボトルのイメージとも重なる、まっさらで新たな一歩を踏み出していくような、清々しい仕上がり。じっくりと時を重ねて熟成させれば、また違った一面をみせてくれそうだ。

 吉田酒造店は、明治3年(1870年)創業。霊峰白山の麓、手取川扇状地のほぼ中央の穀倉地帯に位置し、酒造りの村として多くの造り酒屋が「手取酒」や「山島酒」を醸す銘醸地として知られていた。しかし、今や「手取酒」を受け継ぐのは吉田酒造店のみ。150年という節目に立ち、これから100年先もこの美しい地域で酒造りを続けていくために、酒蔵におけるサステナビリティに取り組んでいく。「手取川150周年記念酒」の売り上げの一部は、自然保護を目的に白山手取川ジオパーク推進協議会に寄付。150周年の記念動画もぜひチェックを。


吉田酒造店
石川県白山市安吉町41
TEL:076-276-3311
http://tedorigawa.com/