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「過去2作品の『さくらん』『ヘルタースケルター』は、私が映像化したい!と選んだ作品だったのですが、今回はプロデューサーから『ダイナーを撮りませんか?』とお話をいただきました。原作小説の『ダイナー』は圧倒的に男性らしい物語ですし、主人公が男性という点も含め、難しいなと感じました」

 しかも、原作はかなりハードな内容にもかかわらず、「年齢制限がつかない映画にしてほしい」という課題もあったという。

「でも、そろそろ自分がやったことのない難しいことにも挑戦してみたいと思っていた時期だったんです。自分の得意分野ではない、手の内にない作品に挑むことで、新しい発見や面白い化学反応も起こるのではないかと思い、挑戦することにしました」

 主人公は男性、ストーリーはサスペンスもの、バイオレンス&アクションシーンも多数と、蜷川さんにとっては初挑戦のことばかり。父である故・蜷川幸雄さんの愛弟子としても知られる藤原竜也さんとのタッグも、初めての試みだった。

「父との関係がある中で、竜也と一緒に仕事をするのは、ある種の緊張感があります。絶対に下手なことはできないし、一緒に組むからには必ずやいいものをつくりたい。そういう意味では、ものすごくプレッシャーを感じました。でも、その緊張感がいい方向に作用しましたし、『竜也をいちばんカッコよく撮れるのは私だ!』という気持ちで臨みました。

 ボンベロという役は、彼のバックヤードが描かれていないぶん、観ている者をねじ伏せられる圧倒的な存在感がないと成立しないですし、すごく難しい役です。この役をできる俳優は誰かなと考えたときに、竜也しか思いつかなくて。現場でも圧倒的な安心感と信頼がありましたし、彼なしではつくれなかった作品だとつくづく思います」