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「この夏の土用の丑(うし)の日はいつ?」と気になってくるこの季節。昨年は2日あったが、今年は7月27日の1日のみだ。でも土用の丑の日当日でなくても、暑い夏を乗り切るためのスタミナ補給や自分へのご褒美に、鰻を食べたくなる人も多いはず。そこで今回は、鰻に魅了された料理人ふたりが手掛ける絶品鰻料理をご紹介。せっかくなら、ぜひ至高の一軒で。

鰻はし本
“顔が見える指名買い鰻”を伝統技法で

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「うな重 は」(¥5,600)。うな重の種類は、「い」(¥3,200)、「ろ」(¥4,200)の3種類。ご飯は石川県産のコシヒカリに少量のもち米を加えて食感よく炊き上げている。

 蓋を開けた瞬間に漂う蒲焼き特有の香り。思わず目を閉じて、その匂いを深く吸い込んでしまう。艶やかな鰻の身はふんわりとやわらかく、タレの風味とともに鰻の風味がダイレクトに伝わってくる。ご飯とのバランスのよさも、江戸時代から愛され続ける食文化だとあらためて感じさせる。

「鰻ならではの持ち味をお届けしたいので、新仔(しんこ)ではなく、1歳以上のひねこを使用しています。ひねこは皮の厚さや骨が気になりますが、そこは職人の技術次第です」と語るのは、「鰻はし本」の4代目店主・橋本正平さん。関東風の技法にのっとり、背開きにして串を刺し、まずはタレをつけずに白焼きしてから蒸し、その後タレを数回に分けてつけながらの本焼きをするという技を駆使している。

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4代目の橋本正平氏。1979年東京都生まれ。24歳から「鰻はし本」に入り研鑽を積む。伝統に甘んじることなく、鰻を取り巻く将来も視野に入れつつ、日々丁寧に仕事に挑んでいる。

 タレの価値は「年数ではなく、いかに上質な鰻をくぐらせたか」だという。現在、「鰻はし本」では、鹿児島県泰正養鰻場の横山桂一さんが育てる「横山さんの鰻」、静岡県吉田の石川錦也さんが育てる「石川さんの鰻」、岡山県西粟倉のエーゼロが育てる「森のうなぎ」を主軸に仕入れている。ブランドや産地ではなく、生産者にこだわるという信念に基づいたものだ。

「今後も上質な鰻を提供し続けるためには、しっかりと価値を高めていくことが大切になってきます。例えば牛肉には品評会があり、細かなランクがつけられていますが、残念ながら鰻は天然か養殖の違いのみで、ブランドとして名が通っているのはほんの一部です。養鰻(ようまん)という仕事に夢や誇りを持てる世の中にしていきたいですね」と橋本さん。

雰囲気ある老舗で、伝統文化に浸る

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入り口を入ってすぐの1階のテーブル席。壁の裏に小上がり、2階には座敷の個室を用意する。気軽に訪れても、接待などの会食でもさまざまなシーンに合う。

「鰻はし本」の創業は昭和22(1947)年。戦後まもなく現在の地に移転した。東京駅八重洲口からも日本橋駅からも徒歩3分ほどという便利な立地でありながら、風情ある路地に立つ貫禄ある木造建築は、鰻という伝統的な食文化を楽しむ特別感を高めてくれる。表の看板や店内にさりげなく飾られた品々にも歴史を感じる。

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丁寧に焼き上げた蒲焼きを、薄く包丁を入れた胡瓜(きゅうり)と合わせ、出汁で割ったお酢でさっぱりといただく。「うざく」(3カン¥1,100)。単品のほか、コースも用意する。

 うな重を待つ時間というのも粋なもの。「鰻はし本」では昼夜問わず、うな重、蒲焼き、白焼きの提供までに最短25分はかかる。「うざく」、「うまき」、そして「きも焼」や「くりから焼」といった鰻の串ものなど、専門店だからこその一品料理と共に、好みの酒を片手に過ごすのも贅沢だ。

 日本のよき伝統文化と、鰻の未来を見据えた一軒。「本物を継承していきたい」という思いが込められた鰻料理を楽しんでいただきたい。

鰻はし本
住所:東京都中央区八重洲1-5-10
TEL:03-3271-8888
営業時間:11:00~13:30、17:00~22:00(L.O.20:30)、土11:30~14:00(完売次第終了)
ホームページ:http://www.unahashi.com/
※価格はすべて消費税別・サービス料なし