創業は1780年。名門ジュエラーの中でとりわけ長い歴史を持つショーメは、フランスの歴史とともに輝き、フランスの歴史をつくり上げた唯一無二の存在。東京の三菱一号館美術館にて6月28日より開催される「ショーメ 時空を超える宝飾芸術の世界」展の見どころに触れながら、18世紀後半から現代へと語り継がれる、偉大なる歴史絵巻に迫る。

宝飾界に流行をもたらし時代を動かした美意識

ジョゼフィーヌの後裔であるロイヒテンベルク家に由来するティアラ。19世紀前半にアトリエを指揮したジャン=バティスト・フォサンが手がけた、自然主義の象徴的作品。類い稀なエメラルドを用いた花モチーフは、仕掛けられたバネによってモチーフが繊細に揺れ動くトレンブラン技法を駆使。花は取り外してブローチや髪飾りとして着用することができ、トランスフォーマブルなジュエリーというメゾンの伝統がうかがえる。
ジャン=バティスト・フォサン 《「ロイヒテンベルク」のティアラ》 1830-1840年頃
ショーメ・コレクション、パリ
© Chaumet - Nils Herrmann
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 創業者ニト父子が引退した後、ナポレオン1世失脚後はジャン=バティスト・フォサンが後継者となった。フォサンは、イタリア・ルネサンスから着想を得た新スタイルを確立。厳格な古典主義のティアラを葬り、繊細でロマンティックな自然主義に傾倒。貴石とダイヤモンドを駆使し、ガーランドや花、リボンをリアルに表現した。

 やがて1885年に経営を引き継いだ4代目ジョゼフ・ショーメは、従来の装飾過多なデザインを一新。自然から着想を得たクリエイションを磨き、ティアラの巨匠としてベル・エポック時代に揺るぎない地位を築き上げる。メゾンは彼の名を冠したショーメとなり、現代のメゾンの基礎となった。

4代目ジョゼフ・ショーメが1880年頃に手がけた《ハチドリのエグレット》。ルビーとダイヤモンドでパヴェセッティングを施したハチドリの姿は、今にも大空へ羽ばたいていくかのような躍動感に満ち、彫刻のごとき立体感で魅了。ブローチとして、あるいは羽根飾りのついたエグレットとして着用できる。メゾンの伝統である自然界からのインスピレーションと、ヘッドジュエリーのマイスターとしての芸術性が融合した、ジュエリー史に燦然と輝くマスターピース。
ジョゼフ・ショーメ 《ハチドリのエグレット》 1880年頃
ショーメ・コレクション、パリ
© Chaumet - Nils Herrmann
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