美しく差し込む光により、いっそう魅力を増す館内

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左・中、ホールの窓はステンドグラスの予定が予算の都合で木枠になったというが、そのおかげで美しく光が差し込む。右、創立10周年に在校生と卒業生の有志によって描かれたフレスコ画。復元されたものが飾られている。

 そして明日館の最大の見所は、中央棟のホールだと、吉川さんは続ける。「創立当時は毎朝礼拝をする部屋でした。南西には、明日館の顔である幾何学模様の窓が大きく広がり、光がたっぷりと注ぎ込みます。時間によって光の強さや見え方が違いますから、私は冬の午前11時ごろがベストだと思っています」。

 ホールに置かれた六角椅子も、ライトまたは遠藤のデザインと考えられている。家具も建物の一部と考えていたためだ。現在は見学の際、ホールでその椅子に座りながらコーヒーや紅茶、クッキーが楽しめる。そして復元された縦2.5m×横5mの大きな壁画も圧巻だ。

 2階へ上がると、外光が取り入れられた食堂が広がる。羽仁夫妻が願った教育の基本は、全校生徒が集まり、手作りのあたたかい食事をいただくこと。そのため、当時としては珍しく校舎の中心に食堂が設計されている。至るところに配された家具は遠藤が手がけたもの。1923年に、当時の生徒が帝国ホテルで上演した英語劇の売上金を、家具の製作費にあてたそうだ。

「もと子は、『お金は潤沢には使えないが、子どもがのびのびと過ごせる学校をつくってほしい』としかライトに依頼しなかったそうです。なので、さまざまな材料が混在していますが、廉価なものであっても、そう見えないようにデザインされています」(吉川さん)

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左、電球を吊るすV字形の吊り具が特徴的な照明は、ライト設計のもの。当初の設計図では計画されておらず、建設途中に現場を訪れたライトが「天井が高すぎた」と、その晩に吊り具をデザインしたという逸話も。中、食堂の小さな椅子は、大正11年に遠藤によって作られたもので、当時の女学生サイズだそう。右、透かし彫りが美しい木製のついたては、当時の自由学園生徒の作品とされるが、製作年や製作者は不明。