「『アメリカの方々が満足される華やかで豪華なものを作りたい』と考えた当時のパティシエによって初めて開発されたのが、私たちのプリン・ア・ラ・モードです。当時はフレッシュな果物は手に入らず、アメリカ軍の物資の中にあった洋梨や桃、パイナップルなどの缶詰を使っていたのでしょう」(チーフパティシエ・熊倉弘士さん)

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30年にわたってホテルニューグランドで腕をふるってきた熊倉さん。この日も、鮮やかな手つきでプリン・ア・ラ・モードを作っていただいた。

 当時のパティシエは、アメリカ人好みの味を追求するために、料理好きの将校婦人からアメリカの有名製菓学校の教科書をもらって勉強をしたり、アドバイスを受けたりもしていたんだとか。

 そもそものプリン・ア・ラ・モードは、限られた材料、限られた情報のなかで創意工夫をこらして生まれた至福のハイカラデザートだったのだ。

口伝と舌で継承した、昔と変わらぬ味

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元祖ともいえる伝統の「プリン・ア・ラ・モード」(¥1,603)。どこか懐かしい姿にホッとする。

 今から約70年前、アメリカ人のために生まれたというプリン・ア・ラ・モードの祖。その姿は、思わずため息の出る愛らしさ だ。艶めくプリンにバニラアイス、それらを取り囲むフレッシュフルーツと自家製ドライプルーン、真ん中には真っ赤なチェリー。

 全卵を使った昔ながらのプリンは、低温でじっくり蒸し焼きにしたもの。密度が高く、むっちりとした食感で、上品な甘さをカラメルソースのほのかな苦みが引き立てる。

 一方、バニラアイスはかためのテクスチャー。スプーンで舌にのせれば、さらりとほどけて溶けていく。どちらも甘さは控えめで、フレッシュフルーツとの相性も抜群。ドライプルーンが絶妙なアクセントになっている。