石ノ森章太郎の生地である石巻市には、等身大のサイボーグ009や仮面ライダーが点在する「マンガロード」がある。有馬かおるはこれに応え、2017年以来、彼がここに移住しながら交流を深めてきた地元の無名作家たちを集めて「アートロード」を誕生させた。古い商店や民家に潜む展示には拙い表現も多いが、内向する若いエネルギーが充満し、それを青木俊直らプロフェッショナルの作品がやんわりと引き締めている。

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青木俊直(ディレクション:オザワミカ)《CLASSROOM Ver.A》 photo by NAKANO Yukihide

 小積(こずみ)エリアでは、牡鹿半島に生息する鹿の解体処理加工施設「フェルメント」を中心に、ミニチュアの村落のように仮設パビリオンが集まっていた。「まずはここの設立者である鹿猟師・小野寺望に会うことから始めてほしい」とキュレーターの豊嶋。鹿猟にまつわる事象を記録した写真家の在本彌生をはじめ、志賀理江子、淺井裕介、津田直、堀場由美子、山伏の坂本大三郎&振付家の大久保裕子の計5組が、自然と人間の関係性をテーマに作品を展示している。

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立ち枯れの木と牡蠣の貝殻による志賀理江子のインスタレーション《Post humanism stress disorder》(2019) photo by NAKANO Yukihide

 先日31年ぶりに再開された商業捕鯨の拠点としても知られる、牡鹿半島最南端の鮎川エリアでは、まさに「Reborn」をキーワードとする作品を見せる。ミュージシャン青葉市子は民家の内部をクジラをめぐる物語で彩り、写真家の石川竜一はなぜか自力で地中にバカでかい歪(いびつ)な穴を掘る。キュレーターの島袋自身は、長年忘れられていた遊歩道に約30トンの白い砂利を敷きつめ、霊峰・金華山を望むとっておきの場所へと導く道を復活させた。詩人の吉増剛造は『詩人の家』に約2カ月のあいだ滞在制作し、宿泊者と寝食をともにする。いつもながら詩人の発想は格別に真新しい「Reborn」の連なりである。

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島袋道浩 《白い道》2019  photo by NAKANO Yukihide