続いて牡蠣の養殖場のある荻浜エリアへ。鬱蒼とした木立を抜けると貝殻で白くなった浜に、2017年に作家として参加した名和晃平による、本芸術祭のモニュメントともいえる純白の鹿の彫刻が見えてくる。

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名和晃平 《White Deer(Oshika)》 photo by NAKANO Yukihide

 名和のキュレーションテーマは「プライマル エナジー -原子の力」。3つの洞窟の奥に名和、WOW、村瀬恭子の作品がある。ヘルメットと長靴を装着して足を踏み入れ、水の滴るひんやりとした内部に蠢く原初的なイメージを覗き込む。なかでも名和の新作《Flame》は、疲労困憊で辿り着いた心身に喝を入れる鮮烈さで、訳のわからないその容赦のなさに笑うしかない。洞窟から炎を背に帰還するとき、地球を救ったスーパーヒーローの気分になれるかもしれない。

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名和晃平 《Flame》外観 2019 photo by NAKANO Yukihide

 思いのほか広大だったのが網地島(あじしま)エリアだ。石巻から船で約1時間、海水浴客に人気の島に到着。サンフランシスコを拠点に、ストリートアートの世界で長年リスペクトされてきたTWISTことバリー・マッギーらによる、巨大なグラフィティならぬ“横断幕”が出迎えた。

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バリー・マッギー with スクーターズ・フォー・ピース《無題》2019 photo by NAKANO Yukihide