網地島一帯に、アルプス出身のアーティストで詩人であるロイス・ワインバーガーの作品がふんだんに設置されている。バケツの土から元気よく伸びた雑草の《ガーデン》(1994 / 2019)など、一見無作為だがラディカルな思想に裏づけられた作品世界は、古くから里山や民家の路地で育まれてきた日本人特有の自然との付き合い方を想起させた。

 このように観るものをほっこりとさせるゆるいアウトプットが、知らずしらずのうちに、過酷な自然に立ち向かってきた東北の地の自然観を注入してくる感じは新鮮だ。この芸術祭全体に通奏低音として埋め込まれたサブリミナル的な体験といえるだろう。ランドアートを端緒として連綿と受け継がれる「自然のなかで展開されるアートインスタレーション」の効用は、そこにあるのかもしれない。ぬかるみで泥まみれになり、ヒルに刺された身体を引きずって歩ききったあとに、そんな実感を漠然と噛みしめた。

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ロイス・ワインバーガー 《ガーデン》1994 / 2019 
Reborn-Art Festival 2019
会期:2019年8月3日~9月29日 (網地島エリアのみ8月20日~)
会場:牡鹿半島、網地島、石巻市街地、松島湾(石巻市、塩竈市、東松島市、松島町、女川町)
開館時間:10:00〜16:00(石巻駅前・市街地、土日祝および8月13日~16日は~17:00)
※最終受付は30分前まで、施設・作品によって異なる可能性あり
パスポート料金:一般\ 3,000 / 高校・専門学校・大学生 \2,500 / 中学生以下無料

Text:Chie Sumiyoshi Editor:Kaori Shimura