石巻と牡鹿(おしか)半島の歴史や文化を背景に、現代アート、音楽、食にフォーカスする総合芸術祭「リボーンアート・フェスティバル2019」。第2回となる今回は「いのちのてざわり」をテーマに、展示エリアを拡大して開催されている。その模様を、アートジャーナリストの住吉智恵さんがレポート。

石巻で実感する、むき出しの自然と鮮烈なアート

 東日本大地震から8年、いまも復興が進められる宮城県石巻市。その市街と牡鹿半島全域にわたるエリアで2017年にスタートした芸術祭「Reborn-Art Festival」が第2回の開催を迎えた。発起人である音楽プロデューサーの小林武史、ワタリウム美術館の和多利恵津子・浩一、人類学者の中沢新一、キュレーターの豊嶋秀樹、アーティストの島袋道浩、有馬かおる、名和晃平が「キュレーター」として参加し、それぞれ担当エリアの展示を統括する。

 オープニングに先駆け、プレビューに参加した。100%インドア派の筆者にとって、猛暑のなか広域を移動する2日間のプレスツアーは噂どおりの強行軍だったが、受けて立つ心構えはできていた(はず)。

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旧観慶丸商店 外観

 まずは石巻駅周辺の市街地へ。震災の年に訪れ、茫然としたあの街並みがかなり復興していることに驚きながら、原形をとどめる数少ない建造物である旧観慶丸商店の放つ重いオーラに言葉を失う。ここでは中沢新一が招聘したシンガポールのアーティスト、ザイ・クーニンによるインスタレーションが展開されている。地元の人々から集めた1000個以上の水を張った茶碗には「千の眼」が浮かび、まだ見ぬ未来のこの街の姿を見つめていた。

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ザイ・クーニン《茶碗の底の千の眼》展示風景(部分) photo by NAKANO Yukihide