乗り継ぎ利用で触れる、スリランカの名建築家・バワのDNA

 現在は直行便がないモルディブへ行く便利なルートは、スリランカ航空が就航するコロンボ経由便。成田発着の毎週4便で、飛行時間は成田~コロンボ間が約9時間20分(復路は約8時間50分)、コロンボ~マーレ間は約1時間半となる。セントレジス・モルディブ・ヴォンムリリゾートへはさらに水上飛行機に乗り換えるわけだが、1日の発着本数が少ない水上飛行機には、その日のうちに乗り継ぐのが難しい。そこで、スリランカ・コロンボの「ジェットウィング・ラグーン」で1泊することに。

 建築に興味がある人ならば、ジェフリー・バワの名前を知っているかもしれない。1960~90年代にかけて活躍したコロンボ出身の建築家で、「トロピカル・モダニズム」と呼ばれるスタイルの第一人者として数々のホテルを手がけた。今や多くのリゾートホテルにある「インフィニティ・プール」を考案したのもバワだ。

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ヴィノッド・ジャヤシンゲによって造られた、レストラン&スィートルームへのエントランス。バワがデザインしたホテル内の給水塔に着想を得た、台形の柱が独特の存在感。

 今回宿泊したのは、バンダラナイケ国際空港から車で約30分のネゴンボラグーンに面するジェットウィング・ラグーン。1965年にバワがはじめて設計したホテルとして知られ、老朽化にともない閉鎖されていた時期もあったのだが、バワの愛弟子であるヴィノッド・ジャヤシンゲ氏による改修を経て、2012年にリニューアルオープンを果たした。

 バワが設計した当時そのままの施設は少ないのだが、風が通り抜けるメインダイニングや芝生に囲まれたプール、半屋外に設けられたバスルームなど、自然との共存と融合を目指し、外と内との隔たりを極力なくした彼の精神が受け継がれている。

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ホテルの中心に据えられた、スリランカ最長100メートルのプール。夜のライトアップも美しい。
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〈左〉メインダイニング「ブルーラグーン」の前にある庭。その先に広がるラグーンまで視線を遮るものがほとんどなく、抜けのいい景色が心地いい。〈右〉庭からラグーンまで、ほぼ高低差がないまま続いている。ネゴンボは漁村でもあるので、早朝にはボートに乗った釣り人の姿がまるで影絵のように見られる。
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〈左〉庭で出合った、インドトサカゲリの夫婦。手前のメスはなんと卵を抱えているため、近づくとオスが威嚇してくるのが微笑ましい。〈左〉メインダイニングでの朝食はブッフェ式。スリランカではポピュラーな米の麺「インディアッパ(ストリングホッパー)」は、カレーなどにつけて食べる。

 ジェットウィング・ラグーンは、専門の医師が常駐するアーユルヴェーダ施設としても注目されている。10日~3週間にわたる本格的なプログラムも気になるところだが、短期滞在の場合は、アーユルヴェーダの手法を取り入れたプレ・アクティビティ・トリートメント(60分間~)で技術の高さを体感できる。

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アーユルヴェーダ&スパの施設も、バワの建築を継承した隔たりの少ない設計に。

 せっかく乗り継ぐのであればと、モルディブの前にもうひとつの異国を訪ねることにした今回の滞在。短くはあったが、建築や料理、アーユルヴェーダ体験、ホテルスタッフのあたたかな対応、そしてホテルを取り巻く自然に触れることで、スリランカの魅力を知ることができた。こういう旅のスタイルも、いいものではないだろうか。


ジェットウィング・ラグーン
Pamunugama Road, Thalahena, Negombo, Sri Lanka
日本での問い合わせTEL:03-3476-7277

Edit & Text:Kao Tani


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