同じ顔をした二人の男。人は人の何に惹かれるのか?

 サラリーマンの亮平は、会社にコーヒーを届けに来た朝子と出会う。真っ直ぐに想いを伝える亮平に、戸惑いながらも惹かれていく朝子。ふたりは仲を深めていくが、朝子には亮平に告げられない秘密があった。亮平は、かつて朝子が運命的な恋に落ちた恋人・麦に顔がそっくりだったのだ――。
 同じ顔をした二人の男と、その間で揺れ動く女の8年間を丁寧に、そしてスリリングに描く本作は問いかける。人はなぜ人を愛するのか? その人の何に惹かれ、なぜその人でなくてはならないのか? 傷つけ、傷つきながらも、誰かを愛さずにはいられない。まっすぐな想いが引き起こす衝撃の展開が、観る者の胸をざわつかせる。

 濱口監督自らが熱望した、小説『寝ても覚めても』の映画化である本作は、第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に選ばれるという快挙を果たし、世界中から熱い注目を集めている。

監督:濱⼝⻯介 出演:東出昌大、唐田えりか、瀬戸康史、山下リオ、伊藤沙莉、渡辺大知(黒猫チェルシー)
9月1日(土)テアトル新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋⾕シネクイントほか全国公開
©2018 映画「寝ても覚めても」製作委員会/ COMME DES CINÉMAS

柴崎友香さんの原作と、新刊もチェック!

『寝ても覚めても』
あの人にそっくりだから恋に落ちたのか? 恋に落ちたからそっくりに見えるのか? 消えた恋人。生き写しの男との恋。そして再会。朝子のめくるめく10年の恋を描いた、野間文芸新人賞受賞作。¥740(河出書房新社)
『公園へ行かないか? 火曜日に』
世界各国から作家や詩人たちが集まる、アイオワ大学のインターナショナル・ライティング・プログラムに参加した著者が、不得手な英語で議論をし、街を歩き、アメリカ大統領選挙を経験した3カ月。現地でのさまざまな体験から感じたことを描く11の連作小説集。¥1700(新潮社)
柴崎友香
1973年、大阪府生まれ。2000年に刊行されたデビュー作『きょうのできごと』(河出書房新社)が、行定勲監督により映画化され話題となる。2007年『その街の今は』(新潮社)で芸術選奨文部科学大臣新人賞、織田作之助賞大賞、咲くやこの花賞、2010年『寝ても覚めても』(河出書房新社)で野間文芸新人賞、2014年に『春の庭』(文藝春秋)で芥川賞を受賞。小説作品に『パノララ』(講談社)、『わたしがいなかった街で』(新潮社)、『週末カミング』(角川書店)、『千の扉』(中央公論新社)、エッセイに『よう知らんけど日記』(京阪神エルマガジン社)など著書多数。
濱口竜介
1978年、神奈川県生まれ。2008年、東京藝術大学大学院映像研究科の修了制作『PASSION』がサン・セバスチャン国際映画祭や東京フィルメックスに出品され高い評価を得る。その後も日韓共同制作『THE DEPTHS』が東京フィルメックスに出品、東日本大震災の被害者へのインタビューから成る『なみのおと』『なみのこえ』、染谷将太を主演に迎えた『不気味なものの肌に触れる』などを監督。15年、映像ワークショップに参加した演技経験のない女性4人を主演に起用した5時間17分の長編『ハッピーアワー』を発表し、ロカルノ、ナント、シンガポールほか国際映画祭で主要賞を受賞。一躍その名を世に知らしめた。

Photos:Akinobu Saito(Portrait) Interview & Text:Shiho Atsumi Edit:Kao Tani


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