日本映画が21年ぶりに最高賞を受賞するという快挙が話題となった、第71回カンヌ国際映画祭。映画界のトレンドを牽引する世界最高峰の映画祭では、女性の活躍を支援する運動も盛んに。

映画界の女性の権利向上の動きが活発に

左は、映画界に貢献した女性に贈られる「Women in Motion Award」を受賞したパティ・ジェンキンス監督。将来有望な才能をもつ女性を「Women in Motion Award」受賞者が選出する「ヤング・タレント・アワード」は、右のカルラ・シモン監督が受賞した。

 毎年5月に南フランスのリゾート地カンヌで開催されるカンヌ国際映画祭。ヴェネツィア、ベルリンと並ぶ世界最大映画祭のひとつであり、実質、世界で最もプレステージの高い映画祭である。映画監督にとってカンヌのオフィシャル・セレクションに選出され上映されることはそれだけで栄誉であり、そこで賞を受賞することは映画史に名を刻むことに等しい。

 71回目を迎えた今年は、新しい10年に向けていくつもの“改革”があった。なかでも最もインパクトがあったのが、映画界における女性たちの働く環境を改善しようという取り組みだ。  昨年の秋に大物プロデューサーのセクハラ問題をきっかけに起こった#MeTooムーブメントは、映画業界にも大きな影響をもたらした。セクハラだけに留まらず、パワハラの根絶や男女の賃金の格差の是正、機会平等など、映画界で働く女性たちの環境を向上しようという動きが起こっている。

 今年、カンヌでは期間中にハラスメントに関する相談を受け付けるホットラインが開設された。また、映画祭が始まって最初の土曜日には、審査員長である女優のケイト・ブランシェットら82人の女性映画人がレッドカーペットに集結、女性の立場向上を訴える「ウーマンズ・マーチ」が行われた。

 が、カンヌはこれまで女性問題を無視してきたわけではない。カンヌのオフィシャル・パートナーである、グッチやサンローランなどのブランドを抱えるラグジュアリー・グループ「ケリング」は、4年前より「ウーマン・イン・モーション」というプログラムを実施している。これは、期間中に映画監督や女優、脚本家、プロデューサーなどの映画人たちが、業界内における女性の地位の向上、働く環境の改善などをテーマに議論するトークイベントである。これまでもジョディ・フォスターやジュリエット・ビノシュなどの大物女優が登壇してきたが、今年はサルマ・ハエック=ピノーやキャリー・マリガン、エミリア・クラークら人気女優も参加した。

 また、映画祭と共同主催する「ウーマン・イン・モーション」アワードディナーの席では、この一年で目覚ましい活躍をした女性映画人にアワードを授与している。今年は、『ワンダーウーマン』を大ヒットさせたパティ・ジェンキンスが同賞を受賞。また、若い才能に与えられる「ヤング・タレント・アワード」は、デビュー作『悲しみに、こんにちは』がベルリン国際映画祭で新人賞を受賞したスペインのカルラ・シモンが受賞した。シモンには次作の製作のために5万ユーロの助成金が授与された。

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トークプログラム「Women in Motion Talk」に登場したサルマ・ハエック=ピノー<上>、エミリア・クラーク<左下>、キャリー・マリガン<右下>ら、映画界の最前線で活躍する人気女優たち。それぞれのリアルな体験談をまじえながら、熱い持論を展開した。