東西の文化が絶妙に響き合う、異色の空間

 2階は日常生活の場であり、とくに親しい客人や賓客だけを通していた。十二帖半と十帖の和室は、能や舞の稽古場として使用され、親交の深かった高松宮宣仁親王をもてなした場所とされている。東側に位置する和室に対し、南側には中国風の装飾が際立つ部屋が。床の寄木には卍崩しがデザインされ、続くサンルームのレリーフや窓などにも、東洋風のしつらえを見ることができる。

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サンルームの壁面や床には、東洋風のレリーフや文様がアクセントとしてあしらわれている。

 和敬塾本館のハイライトのひとつともいえるのが、北側の2階サロンだ。19世紀にイギリスで活躍したウィリアム・モリスを思わせる植物柄の壁紙と名栗仕上げの化粧丸柱、化粧梁が採用されている。螺旋状の溝を彫った化粧丸柱が重厚なリズムを生むと同時に、コロニアルなムードをも感じさせる魅力的な空間だ。

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〈左〉彫刻が施された化粧梁で、天井までも意匠が凝らされている。ウィリアム・モリス調の壁紙も美しい。〈右〉螺旋を描く栗材の化粧丸柱が見事。

 2階には、ほかに護立侯の令嬢の部屋などもあり、家族の食事の場であった御次ノ間は別名「牡丹の間」と呼ばれる。現在も飾られている天井画は、横山大観に師事した熊本県出身の画家、堅山南風の作とされ、部屋に華やぎを添えている。

「見事な天井画には、ただただ圧倒されます。牡丹は一番好きな花ですし、横山大観も非常に敬愛する画家なので、私にとっては夢のようなお部屋とも言えますね。光の採り入れ方や、木材の贅沢な使い方など、この時代の建造物には現在とは違う時間の流れを感じます。堂々たる威厳がありながら、西洋のセンスも取り入れる柔軟さ、絶妙な和洋折衷のバランスはとても魅力的ですね」(ユリアさん)

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和敬塾本館
 
毎年5月から12月の間、月1、2回程度の一般公開を行っている。ガイド付きの見学会形式で、14時集合、所要時間は約1時間。平成30年度の開催日は9月6日、10月4日、11月8日、11月22日、12月6日、12月20日のみ。
住所:東京都文京区目白台1-21-2
TEL:03-3941-6622
ホームページ:www.wakei.org/honkan/
入館料:1000円
定員:30名(定員に達し次第、受付を終了)
申し込み方法:往復ハガキまたはメールにて応募。住所、氏名、電話番号、年齢・性別、職業、見学希望日、見学希望人数を添えて上記住所またはメールアドレス(shujm@wakei.or.jp)まで。

Navigator:Mademoiselle YULIA Photos & Movie:Hiro Nagoya Text:Mika Koyanagi


バックナンバー

マドモアゼル・ユリアが訪ねる 日本の近代建築 Vol.1 自由学園 明日館


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