[画像のクリックで拡大表示]

「実りの秋」という言葉の通り、秋は食材がより美味しさを増す季節。今回は、今年6月に移転オーブンした西麻布の「日本料理 ときわ」と、5周年を迎えた赤坂のフランス料理店「FURUYA augastronome」の、秋ならではの味を紹介する。残暑厳しい日々が続くが、美しく仕立てられた料理で季節の訪れを感じ、心身ともにパワーチャージを。

日本料理 ときわ
移りゆく季節を五感で味わう

[画像のクリックで拡大表示]
器に見立てた柿の中には、柿や海老、椎茸、いんげんの白和えが。かぼすの中には、アカイカ、自家製いくらの醤油漬け、三つ葉のおひたしが入っている。愛らしい皿には、しめじと焼きなすのずんだ和え、柿と大根のなます、舞茸と菊菜と菊花のおひたしが彩り豊かに。

 2000年から銀座で愛されてきた名店「馳走 啐啄」が、今年6月、舞台を西麻布に移し、装いを新たに「日本料理 ときわ」として生まれ変わった。この道およそ40年の料理人、西塚茂光さんが、全身全霊を込めて腕を振るう。

 菊花やイチョウが飾られたこちらは、美しいビジュアルからも秋の訪れを伝えてくれ、口にすればホッとする優しい味わいが広がる。柿の白和えは、低カロリーだが旨味のある豆乳「濃久里夢(コクリーム)」を、お酢と柑橘の絞り汁とともに裏ごししたものを和え衣にしており、爽やかで軽やかな口当たりだ。

[画像のクリックで拡大表示]
大黒しめじを巻いたぐじ(甘鯛)と、松茸、椎茸、舞茸を事前に炭火焼きにし、奉書焼き仕立てにした一品。味つけは日本酒とクリスマス島の塩でシンプルに。

 籠に盛られた落ち葉が、自然の景色を切り取ったようなこちらは、秋の味覚を奉書紙で包み、竹の皮で結んだ一品。紐を解けば、気仙沼産の上質な松茸や若狭ぐじ、風味高いきのこが現れる。通常は奉書紙に包んで火を入れるが、事前に炭火焼きにすることで芳ばしい仕上がりとなり、しみじみ味わい深い。

 献立は毎月1日に大きく替わるが、9月上旬は菊、下旬はお月見にちなんだ料理など、日本の伝統文化に沿って随時入れ替わっていく。秋には、ワタリガニやカマス、サバ、栗のほか、名残の鱧などが登場する予定だ。日本料理の華であるお椀にも季節が投影され、職人の仕事を感じる出汁が身体に染みわたる。スペシャリテである塩釜も趣向を凝らして季節ごとに替わるのでぜひお楽しみに。料理は、¥18,000、¥25,000、¥35,000~の3種類を用意する。

茶事の美意識ともてなしでゲストに感銘を

[画像のクリックで拡大表示]
「日本料理 ときわ」総料理長の西塚茂光氏。1959年山形県生まれ。18歳で上京し、日本料理の道を志す。赤坂「楽味」などで修業を積み、銀座「堂島」の料理長を務めた後、「馳走 啐啄」を開店。

 銀座で約20年もの間「馳走 啐啄」を営んできた西塚さんが、昨年還暦を迎えたことを機に、数年間温めていた計画を実行。自身の技術をより磨くことができる新たな店をつくりたいという想いのもと、「日本料理 ときわ」を開業する運びとなった。「贅を尽くすのではなく、手を尽くしてこそ当店の料理は完成に至るのです」と西塚さん。25歳から表千家で学んできた茶人としての感性も反映されている。また、新店では若手の育成にも力を入れていくそう。

[画像のクリックで拡大表示]
カウンター席のほか、テーブル席、6名まで利用できる個室を備える。手前は、店主の西塚氏。奥は料理長を務める松本一樹氏。

 店を訪れると、内装の見事さにも息をのむ。見事な数寄屋造りを手掛けたのは、設計者であり、数寄屋大工としての経験も持つ建築家の佐野文彦氏。茶人の精神性を表現し、質素な中にも洗練された意匠となっている。樹齢350年の霧島杉の一枚扉をはじめ、赤松や椿、吉野杉、欅、栗など自然素材を贅沢に使用する。カウンターは吉野檜の一枚板、個室は網代天井、壁は聚楽壁、床は三和土など、料理とともこだわりの空間も堪能していただきたい。特別な時間を過ごせるはずだ。

日本料理 ときわ
住所:東京都港区西麻布1-9-7 シュウエツレジデンスII 1階
TEL:03-3405-1237
営業時間:17:00~23:00(最終入店20:15)
定休日:日曜、祝日
ホームページ: https://www.tokiwa-nishiazabu.jp/
※価格はすべて消費税・サービス料10%別
※完全予約制