日本の伝統技術によって醸し続けられる国酒「日本酒」。その魅力をより深く知るため、キーワードに沿って、象徴する3本を紹介する。最終回の今回は、既成概念にとらわれない、新たな可能性を感じる日本酒をセレクト。

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 伝統的な技術を重んじ、継承してきたる日本酒業界だが、新たな動きも目覚ましい。これまでにないアプローチの日本酒も誕生している。テロワールやテクニックなどのストーリーを知り、より深く味わってほしい。

パリでフランス産の米、水、酵母で醸す「C'est la vie」

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「C'est la vie(セラヴィ)」750ml ¥1,920

「日本酒を世界酒に」をビジョンに掲げたWAKAZEは、2016年に設立。ワイン樽での熟成や、植物やスパイスとともに発酵させたボタニカルなお酒などを展開し、2018年には自社醸造所と併設した飲食店を東京・三軒茶屋にオープンした。そして2019年11月、フランス・パリ近郊に酒蔵「KURA GRAND PARIS(クラ グラン パリ)」を創立し、醸造を開始。450㎡の敷地に2,500Lのタンク12基を備えた、ヨーロッパ最大規模の酒蔵だ。現地産のモミノキ(Sapin)と「蟻ほぞ」とよばれる日本の建築技術を掛け合わせた、世界唯一の麹室も備えた。

 杜氏を務める今井翔也さんは、新政酒造や桝田酒造店、聖酒造などで修業した経歴を持つ。今年5月にリリースした「C'est la vie」は、フランス唯一の稲作地帯・南仏カマルグで栽培されるジャポニカ米を95%の超低精白し、欧州を象徴するミネラル豊富な硬水、フランス由来のBio酵母など、テロワールを生かした酒造り。柑橘系の爽やかな酸味が特徴の深い味わいに仕上がっている。摂氏5度以下にキリリと冷やし、ぜひワイングラスで味わってほしい。


KURA GRAND PARIS
9 Rue de la Bergerie, 94260 Fresnes
https://www.wakaze.jp/

老舗酒蔵×世界最高峰のソムリエによるブレンド酒「TANAKA 1789」

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「TANAKA 1789×CHARTIER BLEND 00l VINTAGE 2018」500ml ¥10,000(税込)

「TANAKA 1789」は、寛政元年(1789年)創業の「真鶴(まなつる)」を醸す田中酒造店と、アロマスペシャリストであり、自らを“ハーモニークリエーター”と呼ぶ世界的なソムリエ、フランソワ・シャルティエさんとの出会いによって誕生した。シャルティエ氏は、田中酒造店のマスターブレンダーとなり、酒蔵の最高製造責任者(マスターブリュワー)である杜氏と共同で製造。これまでの日本酒づくりで商品の均質化のために用いられていたブレンドとは異なる、シャルティ氏独特のブレンド方法を採用した。

 ブレンドする日本酒は、酒造工程を変えた6種類の開発を盛川泰敬杜氏に依頼。その中から、しっかりとした質感と奥深い酒質にするため、昔ながらの山廃仕込みと生酛造りを採用した。宮城B3号と協会7号の酵母、地元で収穫される酒米「蔵の華」と「美山錦」を使用することで、アロマと酸味をアップ。より香り高く、複雑さと旨味が重層的に交錯し合う日本酒を目指し、従来の高級酒の価値観とは一線を画する精米歩合にしている。第1弾は世界9カ国で発売、日本では限定1,000本を一部のレストランで展開予定だ。


田中酒造店
宮城県加美郡加美町字西町88-1
TEL:0229-63-3005
http://www.manatsuru.co.jp/
https://tanaka1789xchartier.com/jp