互いの人生の苦楽に寄り添い、生き方を認め合う女性の友情

──今回演じた美冬という役については、どんな感想を持ちましたか?

 美冬は主人公である敦子(トン子)の幼馴染み。演じる上で一番大事なことは、彼女との友情だと思いました。敦子には親類もいないし、ボーイフレンドも一切出てこないのですが、美冬はそんな彼女の傍らにずっと寄り添い、サポートしてきた人です。彼女の人生の楽しかったことつらかったことをすべて見てきたし、うんと頑張ってきたことも知っていて、だからこそ彼女をすごく愛しく思っています。同時に、美冬も彼女に認められる生き方をしたいと思っている。すごく素敵な友情だと思うし、それを一番大事にしたいと思いました。

面倒見がいい美冬のキャラクターが表れている、「道草」でのワンシーン。
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──美冬にとって「食べること」はどんなことなのでしょうか?

 美冬は「道草」という小料理屋の女将で、他の女性たちと違うところは「食べさせること」のプロなんです。ですから『食べる女』という映画の中で、私の役だけが唯一「食べさせる女」なんですね。少し残念だったのは、お客さんにお料理を作って出している場面がなかったことと、食べさせるばかりで自分が「食べる」場面が少なかったこと。私としてはもう少し食べたかったです(笑)。

 ただ美冬は、彼女の人生でしっかり食べてきたからこそ、弱っている人やつらい思いを抱えている人に気づき、すぐに手を差し伸べられる優しさと強さを持った大人の女性になれたんじゃないかなとは思います。食べることで元気を取り戻す人を、多く見てきた人でもあるのかもしれません。

原作者の筒井ともみさんならではの、ちょっとした工夫を加えた家庭料理レシピは出演者にも大好評。
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──着物姿に合わせたイヤーカフというファッションには、“年下キラー”で型にはまらない美冬の自由さも感じました。

 当初、主人公の敦子が原作者の筒井ともみさん自身を描いたキャラクターなのだろうなと思っていたのですが、撮影前あたりから、実は美冬にも筒井さんが投影されている部分があるのではないかというのが、私の中にありました。美冬は登場する場面がそれほど多くはないので、どこをどうと具体的に言うのは難しいのですが、そうしたファッションや、「食べさせる女」であることなどは、筒井さんぽい部分だと思います。

──美冬は「キップのいい姉御肌」というイメージでしたが、その点も筒井さんに共通するものですか?

 筒井さんは、生活を「自分らしく」楽しもうとする熱意や、冒険心みたいなものを感じさせる方です。そしてそういうものが、筒井さんにしかない雰囲気として外側に滲み出しているし、何よりも書く作品に表れているんです。それは自分だけの個性やスタイルを持つ女性の特徴のような気がします。例えばファッションにおいても、筒井さんは「誰かに見られた時に“素敵”と思われたい」とか、「TPOをわきまえていると思われたい」ということはお考えになっていないと思うんです。ただ自身の気持ちを大事にしながら、自由に、着たいと思う服を着て、したいと思うヘアスタイルに整えていらっしゃる。そういう生き方がすごく素敵だと思います。