歩きながら癒やされていく、達成感も得られる巡礼路

 三門をくぐると目の前には、ハリウッド映画『ラストサムライ』のロケ地にもなった、急峻な男坂が現れます。

男坂(51段)の険しい階段を避けるなら、少し遠回りにはなるが、緩やかな傾斜の女坂(71段)からの経路もある。
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 知恩院は、山号にもなっている東山三十六峰の一つ華頂山(かちょうざん)の山麓に位置し、上段(開創当初の寺域)、中段(中心伽藍)、下段(三門と塔頭)に区画されています。どこへ行くにも階段や坂道があり、さながら長く険しい道のりを行く“巡礼”のようです。
 男坂を上がると、すぐ左手に阿弥陀堂があり、そこには阿弥陀如来座像が祀られ、その先の御影堂(みえいどう)には法然像が祀られています。浄土宗が帰依する阿弥陀如来と、法然に共通するのは、過ちや罪を赦し、慈愛の眼差しで見守ってくれる存在ということではないでしょうか。

圧倒されるというより、優美で麗しい如来座像の佇まい。阿弥陀如来は極楽浄土の主で、限りない光(智恵)と限りない命を持ち、人々を救済すると言われている。
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「南無阿弥陀仏」の“南無”は、サンスクリット語の“ナモー”を音写した漢訳仏教語で、“心から信じる”という意味。
 極楽浄土があるとされる西方から東方へと面して坐す阿弥陀如来座像に手を合わせながら、遥かなる浄土へ思いを巡らせます。