理論物理学の博士号をもち、有名進学予備校で数学の講師を務める一方、自ら主宰するソムリエスクールで教鞭を執るほか、飲食店経営やワインと日本酒の輸出入業も行うなど、ユニークかつパワフルに活動するワイン研究家、杉山明日香さん。本連載では、彼女が毎月視察に訪れるというシャンパーニュ地方の“今”にフォーカス。

「その年のブドウ」の特徴を生かす努力に終わりはない

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収穫真っ最中のシャルドネの畑にて。

 ――みなさん、こんにちは! 「杉山明日香のシャンパーニュ紀行」第3回は、シャンパーニュ地方中央部にあるコート・デ・ブラン地区のヴェルテュ村に位置する「ぺルネ・エ・ぺルネ」をご案内します。ここは、私にとって特別なドメーヌ。フランスに行くと必ずといっていいほど立ち寄る、まるで“シャンパーニュ地方にある実家”のようなところです。

 ぺルネ・エ・ぺルネは家族経営の小さなドメーヌですが、彼らが所有する畑はすべてプルミエ・クリュとグラン・クリュに格付けされています。シャンパーニュ生産の中心都市のエペルネから車に揺られること30分、まさに収穫真っ盛りの畑で、5代目の当主であるクルト・ジンマーマンさんにお話を伺いました。

明日香:ふふふ、もうずいぶん長く知っているクルトにあらためてインタビューするのはちょっと不思議な感じ。まずは、ぺルネ・エ・ぺルネの歴史を教えてください。

クルト:(笑)。明日香はもう、家族みたいなものだからね。ぺルネの歴史は1871年にここヴェルテュ村でブドウづくりをスタートしたことから始まります。最初の2世代はブドウ栽培農家で、ブドウを大手のネゴシアン(=買い付けブドウによるシャンパーニュ製造会社)に卸していたのですが、3代目当主のミッシェル・ぺルネの時代からシャンパーニュの製造・販売を始めました。それ以来3世代にわたって、シャンパーニュの伝統を守りながら、人生の特別なときに彩りを添えるようなシャンパーニュを目指して造っています。

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まるで自分の子どものように、愛しそうにブドウを見つめるクルトさん。