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鹿、熊、ウサギ、真鴨、ヤマウズラなど、狩猟などで得た野生鳥獣をいただく「ジビエ」。ヨーロッパ各地では“秋冬のごちそう”として食文化に深く根付いてきたが、近年では日本でも提供するお店が増え、食通のみならず一般的に広まりつつある。今回は、ジビエに精通したフランス料理のシェフふたりに注目した。

recte(レクテ)
生命力に満ちた皿を構築することを信条にしたジビエ料理

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「エレゾ社の蝦夷雷鳥の窯焼き。香り高いコニャックと栗のジュとともに……」。季節の訪れを伝える豊潤なソースが、上品な蝦夷雷鳥の白身とバランスよく引き立て合う。

 ジビエのなかでも貴重な蝦夷雷鳥を使った一皿。「ヨーロッパの雷鳥に比べて淡泊なので、石窯の熱で20~30分かけて火を入れ、肉汁を閉じ込めるようにしています」と語るのはシェフの佐々木直歩さん。雷鳥のジュを煮詰め、内臓や生クリームを使ってバターモンテした艶やかなソースを合わせている。ポルト酒やコニャックで炒めた栗やセップ茸が、風味や食感をより豊かに。カラフルで愛らしい野菜のエチュベは、タイムやベーコンで香り付けをしている。

 この蝦夷雷鳥は、北海道・十勝を拠点に、生産狩猟から枝肉熟成流通まで、食肉における一貫生産管理体制を構築している「ELEZO(エレゾ)社」から届いたもの。「蝦夷雷鳥は、年に数羽しか扱いがありません。今回は、タイミングよくハンターの尾崎松夫さんが獲ってきてくれたので、佐々木シェフに送ろうとなりました」と話すのは、日ごろからレストランと密に肉の状態を確認し合っているELEZO社の枝肉熟成流通部門の奥慎吾さん。信頼関係によって、上質なジビエを提供することにつながっている。一皿で多彩な表情があり、貴重な食材であることを知ると、食べきるのが惜しくなるような尊さを感じる。

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「40日熟成のソローニュ産コルベール オレンジの香り、しっかり作り込んだサルミソース」。手前の胸肉にはリンゴのソテーを添え、奥のもも肉はサラダ仕立てに。

 こちらは、フランス・ソローニュ産の野生の青首鴨「コルベール」の半身を、2皿に仕立てたメニュー。40日間じっくりと熟成させることで、旨みがグッと増している。胸肉には、がらをじっくり1日半かけて赤ワインとフォンドヴォで煮込み、仕上げに内臓、フォアグラ、バターでつないでとろみをつけた艶やかなソースを添えて。バターや蜂蜜で香ばしく焼いたリンゴと、砕いたピスタチオとアーモンドがアクセントになっている。仕上げに散らしたオレンジの爽やかな香りも漂う。もも肉は、骨から外して薄切りにしたもの。部位の違いを食べ比べる楽しみもある。紹介している料理は、共にディナータイムの『竃』炭火焼スペシャルコース(¥15,000)からの一皿。貴重な食材のため、内容は入荷次第なので問い合わせを。