モノクロームの映像美で綴る、「瀬戸際」を生きる若者の姿

 雨の夜。一丁の拳銃を見つけたことから、ひとりの大学生の悪夢と天国が同居する日々が始まる。銃を手にしたことで、彼の内部で蠢いていた闇のアイデンティティがはっきりと覚醒。経験のない全能感が、彼の日常を鮮やかに変えていく。そして、徐々に芽生えていく危険な妄想が、彼の生い立ちをめぐる記憶と結びついたとき、彼は思ってもみなかった領域に踏み込み、もはや後戻りのできない幕切れを迎えることに──。あるときは主人公の感情を揺さぶり、あるときは支えにもなるヒロインを務めた広瀬アリスさんの演技も注目だ。

企画・製作:奥山和由 監督:武正晴 出演:村上虹郎、広瀬アリス、リリー・フランキーほか
11月17日(土)よりテアトル新宿ほか全国公開
©吉本興業
中村文則
1977年生まれ、愛知県出身。2002年『銃』で新潮新人賞を受賞しデビュー。04年『遮光』で野間文芸新人賞、05年『土の中の子供』で芥川賞、10年『掏摸〈スリ〉』で大江健三郎賞、16年『私の消滅』でドゥマゴ文学賞を受賞。他、著書多数。また、著書はアメリカはじめ各国で翻訳されている。『掏摸<スリ>』の英訳『The Thief』は12年「ウォール・ストリート・ジャーナル」年間ベスト10小説、『銃』の英訳『The Gun』は16年同紙年間ベストミステリー10冊にそれぞれ選出された。14年、アメリカでDavid L. Goodis賞を受賞。さらに近年では、『最後の命』(14年、松本准平監督、主演・柳楽優弥)、『火 Hee』(16年、桃井かおり監督・主演)、『悪と仮面のルール』(17年、中村哲平監督、主演・玉木宏)、『去年の冬、きみと別れ』(18年、瀧本智行監督、主演・岩田剛典)と、多くの作品が映像化されている。

Photos:Akinobu Saito(Portrait) Interview & Text:Shiho Atsumi Edit:Kao Tani


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