眼球エステにシロダーラ、アーユルヴェーダ トリートメントの奥深さに触れる。

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 14時半から16時半には、午後のトリートメントが行われる。滞在初日の私の施術は、肩から背中全体にかけてオイルマッサージでほぐした後、蒸したハーブボールをポンポンと当てていく「ピンダ スヴェダ」だった。今までにもハーバルボールのコースは受けたことがあったけれど、ここまで温度が高いものは初めてで、一気に血行がよくなった後、すーっと背中全体が軽くなっていくのがわかる。さらに温めたオイルで湿布する「オイル ピチュ」の後、目の疲れを取るという「ネトラバスティ」も。これは小麦粉でつくった生地で目のまわりに土手をつくり、その中に不純物を取り除いたバター、「ギー」を注ぎ、ゆっくりその中で目を開けたり閉じたりして「眼球をギーで洗う」というもの。ギーは何度か注ぎ足され、20分ほどそのまま過ごす。ドライアイに効果があると、最近、東京でも行うサロンが増えているそうだが、黄色いオイルの中で目を開閉し、ゆらゆらと揺れる世界を見ているのは不思議な気持ち。もちろん痛みは何もなく、終わってみると、目の疲れが確かに軽くなったよう。

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 また別の日の午後には、再び頭から首肩にかけてゆっくりほぐすヘッドマッサージの後、有名な「シロダーラ」を体験した。温かいオイルを眉間から額にかけてたらすという、あのメニューだ。

 眉間をオイルが伝い、頭皮へと流れていくと、そのトロトロとした感触とともに、自分の体から何かが流れ出ていくような、体自体が溶けていくような感じがする。そしてかなり個人差もあるようだが、私の場合は額の表面にズーンとした重みと軽い痛み、目の奥にも刺激があった。そしてまぶたの裏には、灰色の地面に徐々にヒビが入っていくような不思議な映像が浮かぶ。繰り返すが、ただオイルを垂らしているだけなのに……!シロダーラは体への影響が強いので、到着直後や出発前、観光などで体を動かす日には施術できない、と説明されたのも納得した。

 シロダーラを受けた後は、さらに思考にとりとめがなくなり、パソコンに向かうのはもちろん、働くのを頭が拒否しているような感覚がある。音楽や本まで不要に感じ、ただただぼんやり無為に時間を過ごしたいと感じる、普段では考えられないような感覚になるのだ。

 あふれるほどの情報のなかで暮らし、インプットが過剰になっているからこそ、こうした「情報断食」をして、脳をすっきりさせることが必要だったのかもしれない。モノがあふれた狭い部屋で暮らしているように、私たちの心身には過剰な情報だとか疲労がぎゅうぎゅうに詰まってしまっている。「何だか頭痛がする」「アレルギーがひどくなった」といった不調が出てきたら、ちょうどリセットのタイミングなのかも……と感じた。

未消化物は心身の負担に。夜の食事は早く、できる限り少なく。

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ディナーはカレーと、アーッパという米粉を使った薄いクレープ、温野菜などの軽めの構成。そしてデザートには7月から10月なら果物の王様、ドリアンが出ることも。私はタイなどのドリアンは匂いが苦手だったけれど、ここで育つドリアンはもっとフレッシュで濃厚なババロアのような味わいなので、尻込みせずお試しを。

 アーユピヤサではディナーは19時で、一日の中で一番軽い食事が提供される。私は日本では夜遅くに食事をとることが多く、お酒もよく飲むので、「アルコールもコーヒーも夜食も一切無し」という毎日に耐えられるのか、実はかなり不安だったのだが、結果としてはまったく問題なく、それどころかここ数年で一番快調な毎日が過ごせた。

 朝はすっきりと目が覚めて、パワーがみなぎってくるような感じがする。そしてお酒を飲まず、毎日ヨガをしてマッサージを受けているから当然かもしれないけれど、まるでむくみがない。その効果は日本に戻ってからもしばらく続き、長く担当してもらっているエステティシャンの方に「全身の質感がまるで違う」と驚かれたほどだ。 ディナーから部屋に戻ると、ポットに入った白湯が用意されているので(もちろんミネラルウォーターもある)、ゆっくり白湯を飲みながらバルコニーで星を見たり、虫の声を聞いたりして過ごすうち、ふと足もとを見たら蛍が舞っていたことも。リゾートによっては、たくさん殺虫剤をまくことで「虫のいない快適な空間」をつくるところもあるけれど、いろいろな生き物が自然に生きていられる環境こそ、本当は豊かで貴重なのではと感じる。

「たくさん野菜を食べましょう」「毎日運動をしましょう」「全身のマッサージで滞りのない体をキープしましょう」「自然に触れる時間をつくりましょう」「添加物やお酒、夜ふかしは避けましょう」……こうしたことは飽きるほどいわれてきたし、それが健康にいいことくらい、誰もが百も承知だろう。でも頭でわかっていても、自分で実行するのは難しい――そんな人こそ、アーユルヴェーダリゾートに滞在し、いざそれを実行したら自分がどう変わるのか、体感してみてほしい。食と生活習慣がいかに簡単に人を変えるか、そして自分の中に眠るパワーや可能性にも驚くはずだ。さらには「やめられない」と思い込んでいた悪癖を断ったり、今後の生活や、大げさではなく人生をも見直すような、いい契機にもなるはずだ。

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観光もしたいという人は、アーユピヤサから車で2時間ほどの世界遺産、シーギリヤロックや古都キャンディへの往復もオプションで頼める。パワースポットとして知られるシーギリヤの雄大な眺めも、忘れられない思い出
アーユピヤサ
Ovil Pitiya,Estate Ovilla,matale,Sri Lanka
TEL:+94-66-2225486(スリランカ)、03-6278-8561(日本)
宿泊料金(1泊1人あたり)¥34,500 ※3食、アーユルヴェーダ施術、カウンセリング、ヨガを含む。2人1部屋、4泊以上の宿泊で割引あり。空港への送迎往復 ¥21,000。
旅行会社: PINK https://www.loveandtravel.co.jp/ TEL:03-5656-2775

Text & Photos:Mizuho Yonekawa