明治や大正、昭和初期に建てられた建造物には、現代の建物とは異なる魅力がある。DJ、モデル、ファッションデザイナーとして多彩な顔を持つMademoiselle YULIA(マドモアゼル・ユリア)が、そんな近代建築をナビゲート。今回は、上野公園にある国立国会図書館国際子ども図書館を訪問した。

MADEMOISELLE YULIA
東京生まれ。DJやシンガー、モデル、ブランド“Growing Pains”のデザイナーとして活躍。国内外のコレクションのフロントロウを飾る、ファッションアイコンとしての顔も持つ。また、2018年4月から大学で日本の伝統文化について学んでいる。大正時代や歌舞伎、着物などに造詣が深い。 http://yulia.tokyo/yulia/

国立の子ども図書館としての歩み

 東京国立博物館や国立西洋美術館など、数々の名建築が並ぶ上野公園。ルネサンス様式の洋風建築とガラスのエントランスの対比が美しい堂々たる洋風建築が、国立国会図書館国際子ども図書館だ。

 現在「レンガ棟」と呼ばれている建物は、明治39(1906)年に帝国図書館として建てられ、昭和4(1929)年に増築されたもの。当時の文部省の技官であった、官庁営繕の建築家、久留正道(くる・まさみち)を中心に、部下であった真水英夫(まみず・ひでお)らが設計した。そのとき、参考にしたのは、国立国会図書館のモデルにもなったアメリカの議会図書館や、ボストン公共図書館、シカゴのニューベリー図書館といわれている。

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アーチの大きな窓が特徴の外観。外壁は明灰色の白丁場石とベージュの化粧煉瓦が特徴。北と東側の化粧煉瓦はフランス積みといわれる技法だそう。

 館内に入る前に、国際子ども図書館になるまでの変遷を。 戦後、国立図書館と名称を変え、昭和23(1948)年からは国立国会図書館支部上野図書館となり、運営されてきた。だが、1990年代には子どもの読書離れが加速。子どもの読書推進活動を支援する国立の児童書専門図書館として、平成12(2000)年に新たに開館した。それが国際子ども図書館だ。現在では、国内外の優れた児童書を読みに、また、建築を見に、たくさんの人々が訪れる。特に週末はにぎやかだ。

本を楽しむ子どものために設計された仕掛け

 そのような経緯から、読書にふさわしい内装の工夫が随所に見られる。 1階「子どものへや」は、主に小学生以下を対象とした閲覧室だが、天井全面にLED照明を入れ、子どもたちが室内のどこにいても、影がでにくく、明るい環境で本を読める工夫がなされている。続く「世界を知るへや」には、国際理解を深めることを目的とした書籍が約2000冊並ぶ。

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子どものへやの蔵書は約1万冊。大人にとっても興味深いラインナップだ。ジャケット¥444,000、シャツ¥230,000、スカート¥337,000、ベルト¥57,000、ブーツ¥143,000、バッグ¥376,000/すべてルイ・ヴィトン(ルイ・ヴィトン クライアントサービス TEL:0120-00-1854)
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帝国図書館時代には貴賓室として使用されていた、世界を知るへや。シャンデリアは東京電力が保管していた現物の部品を採寸し、復元したもの。
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〈左〉当時の床の寄木細工を修復して再利用。 〈右〉天井の漆喰装飾は当時の写真をもとに修復・再現されている。

 2階の「児童書ギャラリー」は、帝国図書館時代には特別閲覧室として、館長が特別に認めた研究者が使っていた。現在は子どもの本の常設展示を行っており、漆喰で仕上げられた4本の柱をはじめ、帝国図書館時代の室内装飾が復元されている。

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絵本史の書架では、明治から現代に至るまでの絵本を閲覧することができる。
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〈左〉児童書ギャラリーの漆喰の柱。竹小舞を化粧下地とすることで、微妙なふくらみが表現されている。 〈右〉当時の名残を感じさせる本のエレベーター跡。ここで書庫から取り出してきた資料を受け取り、利用者に提供していたそう。