人生のワンシーンに彩りを添える「OKINA JUNMAI DAIGINJO」

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「OKINA JUNMAI DAIGINJO」720ml¥12,000

 ボトルのラベルデザインは、日本酒の主原料であり、生命線である水と米を抽象的なグラフィックで表現。半円の米は35%の精米歩合を網点で、水は青海波(せいがいは)で描いている。ボックス、ボトル、ラベル、すべてがシックな黒で統一され、主張しすぎないデザインのなかにもこだわりを秘めている。「人生の重要な場面を彩るお手伝いができるような素晴らしい酒を造りたい」という思いのもと、250年以上の歴史ある翁酒造の幹となる商品として「OKINA」は誕生した。年間生産数2000本。能における「翁」は、祝言曲で、翁・千歳・三番叟の3人の歌舞からなり、正月初会や祝賀能などの最初に演じられる。

 翁酒造は、250年前に福岡県糟屋郡須恵村にて旅館業を営んでいたのが前身。遠方より治療に来る人の宿屋や酒屋として利用されていたのが、今日の酒造業につながったそう。酒造りに使用する水はすべて福津市の「太閤水」という湧水を使用。日本酒造りに適した水の代表格である兵庫県灘の宮水と同じく、麹を活性化させるリンが多く含まれている水だ。米は、特性を最大限に把握して仕込みの調整ができるよう、自らの田んぼで栽培。減農薬で育てているため、害虫被害対策も欠かさず、田んぼの四隅にはタニシの餌となる米や筍の皮を置くなどの対策をとっているという。小さな蔵だからできる手間ひまかけた工程を大切に酒造りに向き合っている。


翁酒造
福岡県古賀市花見南3-19-1
TEL:092-944-0551
https://okinanosake.jp/

わずかしか造ることができない「雫酒」とは?

 日本酒は、いわば酒蔵ごとの作品であり、多くの時間や手間がかって完成するものだ。簡単にお伝えすると、米、米麹、水を酵母によって発酵させることで「醪(もろみ)」ができ、それを搾ることで液体と固体(酒粕)に分かれ、日本酒が出来上がるというのが大きな流れ。その各工程のなかで、独自の手法を巧みに取り入れることで、その蔵その蔵の個性が生まれていく。

 搾る作業では、大きな機械で圧力を掛ける方法が一般的だが、自然の重力だけを使う方法もある。それが「雫酒」や「雫取り」と呼ばれるものだ。醪を酒袋という大きな布袋に入れ、それを吊るすことで、外圧ではなく醪そのものの重みによって自然と滴り落ちる雫を集めていく。その様子から「袋吊り」、「吊るし酒」とも呼ばれている。

 非常にデリケートな搾り方で、よりピュアな部分だけが抽出され、雑味のないクリアで繊細な味わいとなる。一度にわずかな量しかとれないため、鑑評会の出品酒のために採用されることがほとんどだが、近年では商品として目にする機会も増えてきた。

 今回は「雫酒」の中でも、年末年始のおめでたい席にもふさわしい縁起のいい銘柄をセレクトした。でもストレートな「祝い酒」ではなく、日本ならではの漢字、歴史、文化などに酒銘の由来をひもといていくことで、なるほど!と納得するようなタイプのもの。一本の日本酒から会話が生まれ、膨らんでいくことも素敵だ。年末や正月に贈る際には「縁起のいいお酒なので、2020年の最初の乾杯酒にどうぞ」などと言葉を添えるのも粋だろう。

外川ゆい
フードジャーナリスト。
外川ゆい 1980年生まれ。グルメ誌やライフスタイル誌を中心に、レストラン、ホテル、お酒など、食にまつわる記事を幅広く執筆する。なかでも日本酒をこよなく愛し、蔵元とお酒を交わす時間がなによりの至福。相手への敬意を込め、常日頃から和装。

Photos:sono(bean) Text:Yui Togawa Edit:Mizuho Yonekawa

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