日本の伝統文化によって醸し続けられる国酒「日本酒」。移りゆく季節やシチュエーションに沿って、毎月厳選した3本を紹介する。今月は、特別な贈り物にもふさわしい、蔵を代表する稀少な日本酒をセレクト。

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 一年の終わりや新年の始まりを迎えるこの季節。大切な人に贈ったり、特別な時間に傾けたくなる、少し贅沢なお酒を紹介する。わずかしか造ることができない「雫酒」(しずくさけ)のなかでも、おめでたい席に花を添える縁起のいい銘柄や、スペシャル感を演出してくれるデザインをセレクトした。ぜひ、思い出に残るひと時に。

“最終”“究極”の意を持つ、生酛造りの「妙花闌曲Ω」

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「妙花闌曲Ω(みょうからんぎょくオメガ)」720ml¥49,500(税込)

 令和に入り最初の商品として11月8日に登場したのがこちら。さらなる高みを目指して辿り着いた、しっかりした熟成とともに勢いも感じられる仕上がりとなった生酛(きもと)造り純米大吟醸雫原酒だ。大七酒造の最高峰として誕生した「妙花闌曲」や、選りすぐりの複数のヴィンテージを融合させた「妙花闌曲グランド・キュヴェ」を経て、再びシングル・ヴィンテージに回帰。ギリシャ文字の最後である「Ω(オメガ)」は、「最終」や「究極」を意味し、デザインのモチーフは、螺旋上昇。ピューター製エンブレムには、ラテン語で「ALTIORA PETO(より高きものを我は求む)」と刻まれている。2016醸造年度、限定1856本。

 宝暦2年(1752年)の創業以来、伝統的な醸造法である「生酛造り」一筋に醸し続け、全国随一の実績を誇る大七酒造。さらに、原料米の潜在力を最大限に引き出すために、超扁平精米技術も開発。「全ての原料を米に」を合言葉に、醸造アルコールも米を原料にしている。近年では、木桶仕込みに挑戦するなど温故知新の酒造りも。旨みとキレが同居する酒質で「大七といえば燗」と言われるほど、燗上がりするお酒としても愛されている。スタンダードな「大七純米生酛」は、お燗に合うお酒、おせちに合うお酒としても数々の受賞歴を持つ一本だ。


大七酒造
福島県二本松市竹田1-66
TEL:0243-23-0007
https://www.daishichi.com/

魯山人が愛した勝利の酒「七本鎗 純米大吟醸 山田錦 雫取り」

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「七本鎗 純米大吟醸 山田錦 雫取り」720ml¥10,000

 木箱の蓋をスライドさせると、布に大切に包まれたボトルが姿を現す。「雫取り」と書かれているように、地元、滋賀県産の山田錦を35%精米にまで磨き上げ、低温でゆっくりと発酵させた醪(もろみ)を袋吊りで圧力をかけずに斗瓶取(どびんど)り。箱とボトルに施された金色のデザインは、ぽたりぽたりと滴る雫をモチーフにしており、ボトルを包む白い布袋もまた、雫取りする袋を彷彿させる。瑞々しく清らかな口当たりで、繊細な味わいながら心地よい飲み応えがあり、食中酒としての懐の深さもあわせ持つ。酒米の個性を引き出し、しっとりと身体に馴染むような「七本鎗」らしさは健在だが、最高峰となるこちらは、また新たな一面に惚れ直すよう。

 琵琶湖の最北端にある木之本宿の地で天文3年(1534年)に創業した、日本でも屈指の歴史を持つ酒蔵。ほど近い場所に、柴田勝家と羽柴(豊臣)秀吉が戦った賤ヶ岳があり、酒銘「七本鎗」は、秀吉を天下人へと導いた加藤清正、福島正則ら七人の若武者たち「賤ヶ岳の七本槍」に由来する。そこから、勝利や縁起の良さの意も派生している。また、「七本鎗」の文字は、大正時代に冨田酒造に逗留していた30代前半の北大路魯山人の篆刻によるもの。以来、金偏の「鎗」が用いられることとなった。近年では、15代目の冨田泰伸さんによる、時に想いを馳せるヴィンテージ「七本鎗 山廃純米 琥刻」の展開など、新たな試みも興味深い。


冨田酒造
滋賀県長浜市木之本町木之本1107
TEL:0749-82-2013
www.7yari.co.jp/

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