プリン・ア・ラ・モードは、様式美のデザートだ。食材や器、盛り付けに美しいフォーマットがあり、だからこそ逸脱は難しいのだが、絶妙な業(わざ)で新しい境地を見せてくれるお店がある。おいしさの差異を楽しむ大人のスウィーツ探訪記、第4回は歴史ある門前町へ。

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ノスタルジックな参道に溶け込むリノベーションカフェ

 富岡八幡宮をはじめ、著名な神社仏閣の並ぶ門前仲町。「MONZ CAFE(モンズカフェ)」は、その歴史ある街に立つカフェだ。成田山東京別院深川不動堂の参道にある元甘酒屋「きんつば清水」をリノベーションしたモダンな店舗は、ノスタルジックな街並みに不思議と溶け込んでいる。

 MONZ CAFEがオープンしたのは2013年。かつては参拝客で賑わっていた参道が閑散としていたことから、「門前町や参道をもう一度活気あふれる場にしたくて、茶屋のような気軽な休憩所をつくったんです」(MONZ CAFEを手がける設計事務所「ブエナデザイン」の鈴木泰一郎さん)。

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成田山東京別院深川不動堂の参道に立つ「MONZ CAFE」。写真左手にあるベンチはテラス席。天気のいい日には、散歩途中の地域住民がひと休みしていくことも。

 店内は、あたたかく落ち着いた雰囲気。決して広くはないが、ゆるやかに外とつながるような気持ちのいい開放感がある。店内の意匠は門前町の空気になじむよう、可能な限り化学製品ではない“本物の材料”を使用している。地域との関わりを重視し、少し割高でも同じ江東区の材木店で木材を調達した。カウンターなどに使っている板材は、オーナーの鈴木さん自ら足を運んで選んだものだ。

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イートインスペースは、甘酒屋の主人たるおばあちゃんが生活していた部屋だった。柱や梁はデザインのためのレプリカではなく、もともとの構造を生かしたもの。経年による趣があり、甘酒屋時代の歴史を感じさせる。
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甘酒屋より以前は、「きんつば清水」というきんつば屋だった。入り口には、さりげなく「きんつば清水」時代の木札が残されている。古くは店舗に寄付(きふ)金を寄せた人の名を木札(きふだ)に刻む慣習があった。本来、客の目に触れる場所に掲げておくもの。

 大きな窓から見えるのは、向かいにある仏壇店。そして、その向こうには永代寺。江戸の頃に成田山深川不動堂へやってきた参拝客も、「きんつば清水」の外に並ぶベンチに座って、こんな景色を見ていたのかもしれない。

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