──舞台は今回が5作品目ですが、映像とは違う楽しみはありますか?

 舞台には観客がいてその反応が見られることですね。ダイレクトなリアクションはやはり嬉しいです。朝ドラのように、たくさんの人に見ていただき、リアクションが見えやすい作品もありますが、そうではない作品のほうが多いので(笑)。

──ひとつの舞台をやりぬくことで、成長を実感することもありますか?

 舞台の場合、ひとつの作品の稽古に1カ月、本番に1カ月かそれ以上の期間、繰り返して演じ続けるわけで、そこはすごく勉強になりますよね。僕は、第一印象に左右されてしまうタイプで、一度「こうだ」と解釈すると、そこから離れられなくなってしまうところがあるんです。でも同じ演技を繰り返していると、ふと「ひょっとしたら違う解釈もあるかもしれない」と思う瞬間があるんですよね。それはすごくいいことだと思いますし、逆をいえば、そういう発見がないと、長い稽古や本番を乗り切れないのかもしれません。

──「舞台は怖い」という俳優さんもいますが、藤木さんはそうした恐怖感はありますか?

 うちの事務所は舞台で活動する先輩も多く、デビュー当時から舞台を見る機会も多かったんですが、映像しかやっていないときは「2~3時間ぶっ通しでお芝居し続けるなんて」という怖さしかありませんでした。

──でも意識的に、定期的に、舞台に立ってらっしゃいますよね。

 たまたまタイミングが合っただけで……。実は初舞台も、事務所に背中を強く押された感じなんです。ただ俳優同士の絆は、映像よりも舞台のほうが強く感じられる気がします。幕が上がれば舞台上で頼れるのはお互い俳優しかいないわけだし、1カ月も稽古をしていれば、何かしら一緒に乗り越えるものもあり、そこから信頼関係も生まれるので。僕はそんなに熱いタイプではないですけど、音楽劇『魔都夜曲』では、同じ事務所の俳優が多かったのもありますが、始まる前にみんなでハグしまくったりしていましたから(笑)。

──今回の俳優陣は、ミュージカルでご活躍されているソニンさん、声優さん、元タカラジェンヌなどバラエティに富んだメンバーがそろっていますが、そういう部分への期待感はありますか?

 初共演の方ばかりで、元来が人見知りなので不安もありますが、事務所の大先輩である生瀬勝久さんが演出を手掛け、出演もされるので、現場の雰囲気をつくっていただこうと。そこは頼り切ってしまおうと思っています(笑)。
 素晴らしい脚本の、素晴らしい作品なので、令和初の年明けの初笑いに、この作品を選んでいただけたらと思います。

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KERA CROSS 第二弾『グッドバイ』
原作:太宰 治 脚本:ケラリーノ・サンドロヴィッチ 演出:生瀬勝久
出演:藤木直人、ソニン、真飛聖、朴璐美、長井短、能條愛未、田中真琴 、MIO 、YAE、入野自由、小松和重、生瀬勝久
2020年1月11日~13日 かめありリリオホール、2月4日〜16日 シアタークリエほか 山形、新潟、広島、大阪、香川、愛知、福島公演あり。
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Photos:Noriaki Fukushima Interview & Text:Shiho Atsumi Edit:Mizuho Yonekawa

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