ブルガリ 銀座タワーを美しく飾るセルペンティが、チームラボとコラボレート。インタラクティブなイルミネーション「セルペンティ スパークル」は2018年1月31日(水)まで実施される。

 マーケティングやコンサルティングなどで手腕を発揮してきたババンさんだが、ブルガリのブランディングについてはどのように考えているのだろうか。

「ブルガリは有形無形の確たるスタイルを持っています。例えば有形のものなら、ローマの街や建築を再解釈してデザインに生かしている点。無形のものとしては、とてもジョイフルで居心地のよい温かさや喜びを心から愛していることを、ブランドとして、あるいは、ビジネスとしても、みなさんに感じてもらえるようにしている点です。また、伝統を大切にしながらも改革を恐れず、シグネチャーを再解釈するなどクリエイティビティが高く、それらを優秀な職人の技が支えているのも強みですね。美しいだけでなく、身につける喜びがある。それらがブランドの独自性となり、人々に求められる理由だと思います」

 特にクラフツマンシップの継承や理解の深耕については注力しており、今春はイタリア・ピエモンテ州のヴァレンツァに、総面積1,200㎡に及ぶジュエリー工房「マニファットゥーラ ブルガリ」を新設。歴史や職人技を学ぶためのアカデミーを併設しており、「若い世代に技術や哲学を継承するとともに、それらをツイストして新たなものが生まれてくることを期待している」という。地元の小規模な製造業者を、建築学の面と経済面から支援していくという側面もある。

 日本での展開については、グローバルでも強化中の、ECとリアル店舗の相乗効果を発揮するための仕組みづくりを進める。「オンライン事業は今はまだ限定的ですが、今後は顧客がブルガリに24時間、毎日アクセスできるようにしたい。それぞれを別物として考えるのではなく、リアル店舗とeコマースを融合させ、素晴らしいブランド体験や購入体験をしていただくのが理想です」。

 さらに「ブランドのシンボルであるセルペンティを、よりアーティスティックに、建築デザインなどで表現していきたい」という。さっそくブルガリ 銀座タワーでは、デジタルクリエイティブ集団・チームラボとのコラボレーションによるイルミネーション「セルペンティ スパークル」を1月末まで実施中だ。16時30分から24時までの間、スマートフォンまたはタブレットから専用サイト(http://bulgari-serpenti.teamlab.art/)にアクセスし、画面上で好みのセルペンティのデザインをチョイス。それを実際の「セルペンティ スパークル」に向けてスライドさせると、イルミネーションがデザインに合わせたカラーに変容するというインタラクティブなプロジェクトとなっている。古代から現代、そして、未来まで、ブルガリの永遠性はますます輝きを強めそうだ。


終わりに代えて。Q&A3本勝負

Q1:リーダーシップを発揮するためのモットーは?

ババンCEO:トランスペアレンシー(透明性があること)、アクセシビリティー(近寄りやすさ)、エントゥージアム(常に情熱的であること)、エナジー(精力的であること)、ディターミネーション(決断すること)を大切にしています。

Q2:若い頃と今とで変わったことは?

ババンCEO:情熱とエネルギーはもともとあったけれど、経験を積むことでそれがさらに強くなった。コミュニケーションも大切なこと。トランスペアレンシーとディターミネーションは、ときには失敗もしながら、参考になる人たちの姿から学びながら身につけてきたように思います。

Q3:デジタル、IT、医療など異業種を目指す人々が増えていますが、そんな中でもラグジュアリービジネスに従事している人々に向けてメッセージを。

ババンCEO:私は人生の中で“ジョイ”、つまり楽しむことや喜ぶことがとても重要なことだと思っています。ラグジュアリービジネスがほかの産業に比べて面白いかどうかを考えるよりも、楽しいかどうかを大切にすべきで、それは自分次第、心の持ち方次第。常にポジティブに、忍耐強く、一歩一歩確実に学びながら自分の喜びを発見していってほしいですね。


Jean-Christophe Babin
1959 年、フランス生まれ。弁護士一家に生まれ、仏ビジネススクールHEC (経営大学院)でMBA取得後、フランス海軍に入隊し、世界を巡る。除隊後、プロクター・アンド・ギャンブルのフランス支社にて、一般消費財のセールスやマーケティング分野でキャリアを築く。さらに、ボストン コンサルティング グループでラグジュアリー系や通信系の企業を担当。1994 年にヘンケル イタリア支社でマネージング・ディレクターに就き、1998 年にシニアバイスプレジデントに就任。2000 年末に LVMH ウォッチ&ジュエリー部門の傘下であるタグ・ホイヤーの CEO に就任。2013 年、同部門傘下に加わったブルガリの CEO に就任。家族は妻と 5 人の子ども。

Photo: Tomoko Meguro Text: Kumi Matsushita(Fashion Journalist/kumicom)

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