ミロコマチコ《ネギ畑のミルクとシマ》2016年

 世田谷文学館で個展が開かれている画家・絵本作家のミロコマチコもまた愛猫家として知られている。大学時代には人形劇団(大阪市こども文化センター所属)で台本を担当。2012年にデビュー作の絵本『オオカミがとぶひ』で日本絵本賞の大賞を受賞、その後も数々の名だたる絵本賞を受賞してきた。 猪熊弦一郎が一筆書きに近い線描やシンプルな単色の色彩によって、猫の姿形を単純化あるいはデフォルメしようとしたのに対して、ミロコマチコの画風は猫に限らず多種多様な動物たちの生態をより複雑にとらえようとしている。

 なかでも、複数の動物たちの群れが「けもの道」を移動する様子を描いた絵本や、単体の動物の毛並みや羽根に「宇宙」を見るシリーズは特徴的だ。迷彩を思わせる色や形がカオティックに混在する森や草原。あるいは、さまざまな色やテクスチュアが見事な模様を描きだす動物のからだ。そこには人智を超えて、自然が創造した森羅万象に宿る「美」と「謎」への畏敬がある。

 人形劇や絵本の物語を通して、造形と言語がともに働きかける独自の表現を培ってきたミロコマチコ。そのみずみずしい感覚が見出したアートと「いきもの」の幸福に満ちた出合いは、いままさに蜜月を迎えている。


「猪熊弦一郎展 猫たち」
会期:2018年3月20日(火)~4月18日(水)
場所:Bunkamura ザ・ミュージアム
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/18_inokuma

「ミロコマチコ いきものたちの声がきこえる」
会期:~2018年4月8日(日)
場所:世田谷文学館
http://www.setabun.or.jp


Text: Chie Sumiyoshi Edit: Kaori Shimura

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