例えば動物写真家の岩合光昭さんも無類の猫好きで知られるが、ほかの種族よりもネコ科の動物の写真でがぜん腕が冴える。それはやはり、愛するものが創作対象であればこその精緻な洞察力に負うところが大きい。猫の気を惹くため、つかず離れず距離を測り、早朝から晩まで路上に這いつくばって張り込む、その狂おしさが作品に美を与えるのだ。

「愛しているものをよく絵にかくんです。愛しているところに美があるからなんです」(「少年朝日」1950年12月号より)

 猪熊はそう語り、過去に多くの先人たちが描いてきた猫の絵とは一線を画したアプローチで、猫の描写に挑戦した。本展では、写実・単純化にかかわらず、肖像や静物作品、あるいは(猪熊の仕事のひとつである)三越の包装紙を思わせる大小さまざまな猫だらけのドローイングまで、あらゆる角度から猫たちをとらえた作品が集結する。そこには画家が完全に知り尽くした猫の魅力が、写真や動画にはないグラフィックな表現によって、豊かにあふれだしている。

ミロコマチコが畏敬をもって描く、いきものたちの生態

ミロコマチコ《ホッキョクグマ》2015年 アルフレックスジャパン蔵

SHARE

  • sp-fb01
  • sp-tw01
  • sp-line01
TOP-2

forrow us この記事をお伝えした
NikkeiLUXEをフォロー
して最新記事をチェック!

  • sp-fb02
  • sp-tw02