「フランスの最も美しい村」とは

1982年に、フランスのコロンジュ=ラ=ルージュ(コレーズ県)にて設立された協会。フランス各地に存在する、良質な遺産を持つ小さな村の観光と経済活動を促進することを目的とし、158の村が認定されている(2018年7月現在)。人口2000人以下、最低2つの史跡建造物や自然遺産があり、観光客受け入れの態勢が整っていることなど、厳しい選考基準を通った魅力的な村々が加盟している。

バスク独自の建築や伝統文化に触れる

 フランス南西部からスペインの北部にまたがり、7つの地域からなるバスク地方。独自の文化や言語をもち、大西洋の海岸線から10kmくらい内陸に入ると、緑鮮やかな牧草地帯や山が連なり、バスク人が守り抜いてきた美しい自然がある。なかでも、山間にあるアイノアは、バスクの伝統文化や建築様式が色濃く残された村だ。

 パリからTGVでビアリッツ駅まで約4時間20分。アイノアは海辺のビアリッツから車で35分ほど南下したところにある村で、スペインとの国境近くにある。ここは13世紀に村が築かれ、サンティアゴ・デ・コンポステ-ラへ向かう巡礼者の宿場町だったという。

 村はメインストリートが1本あるだけで、かつては巡礼者たちがここを通っていたのだと思うと、淡い郷愁のようなものが湧いてくる。通りにはバスクのシンボルカラーである白と赤、緑で統一された木骨の民家がずらりと並び、その愛らしさに笑みがこぼれる。壁や鎧戸には、バスク十字と呼ばれるラウブルの意匠が施されていることが多い。これは、火、大地、水、空気を表しており、バスク民族古来の伝統的な文様が残っているそうだ。

バスクのエスプリをもつ、魅力的な料理やグッズ

 メインストリートにあるブティックでは、伝統的なバスク織りの手工芸品に夢中になる。バスクの7地域を表す7本のストライプが入ったリネンは、素朴な風合いが何ともいえない。テーブルクロスやナプキン、トルション(キッチンクロス)など、どれも色彩が綺麗で目移りしてしまう。また、バスク名産の黒サクランボのジャムや、サクランボ柄の陶器もお土産にぴったりだ。

 そして、村のオーベルジュで食べるバスクの郷土料理も、旅の大きな楽しみのひとつ。前菜は生ハムのセラーノやイベリコ、メインは仔牛の挽き肉をタマネギや近隣のエスペレット産のピマン(赤唐辛子)と一緒に煮込んだアショアがおすすめだ。やさしい口当たりのスペインのナヴァラワインや、エキゾチックな果実と花のアロマが香るイルレギーワインは、この地方ならではの独特な味わい。デザートには、素朴な伝統菓子のガトーバスクをぜひ。

パリからのアクセス

パリ・モンパルナス(Montparnasse)駅からビアリッツ(Biarritz)駅まで、TGVで約4時間20分。そこからタクシーで約35分(28km)。パリの2つの空港からビアリッツ・アングレ・バイヨンヌ(Biarritz Anglet Bayonne)空港までは、約1時間。

旅のヒント

パリ・モンパルナス駅からTGVでバイヨンヌ(Bayonne)駅まで約4時間。車の場合はバイヨンヌからD932を南下、カンボ・レ・バン(Cambo-les-Bains)でD20をエスペレット(Espelette)方面に入り、そのままアイノアへ。所要時間約35分。

粟野真理子
大学卒業後、本田技研に勤務。その後、編集プロダクションで編集や海外取材を経験後、渡仏。パリに20年以上在住し、旅からモード、アートまでを網羅するジャーナリストとして活躍。『フィガロジャポン』や『マリ・クレール』日本版(アシェット婦人画報社 現ハースト婦人画報社)などで、フランスやモロッコなどを巡る旅の特集や連載記事を執筆してきた。現在も『DAZZLE』や『家庭画報』『Pen』をはじめ、ハイクオリティ・マガジンや機内誌、企業の会員誌などで取材や執筆活動を行っている。本連載のベースでもある近著に、『パリから一泊!フランスの美しい村』¥1,800(集英社)。ブログ:https://mmemariko.exblog.jp/

Photos : Grammy Sauvage Text:Mariko Awano  Edit : Kao Tani


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