「フランスの最も美しい村」とは

1982年に、フランスのコロンジュ=ラ=ルージュ(コレーズ県)にて設立された協会。フランス各地に存在する、良質な遺産を持つ小さな村の観光と経済活動を促進することを目的とし、158の村が認定されている(2018年7月現在)。人口2000人以下、最低2つの史跡建造物や自然遺産があり、観光客受け入れの態勢が整っていることなど、厳しい選考基準を通った魅力的な村々が加盟している。

バカンス先として人気が高いリゾートの島

 大西洋に浮かぶイル・ド・レ(レ島)は、フランスで大変人気のあるリゾート。全長約26km、幅は70mから5kmという細長く小さな島で、その北東部にラ・フロット・アン・レという美しい村がある。パリから漁港のラ・ロシェルまで列車で約3時間。本土のラ・ロシェルとイル・ド・レをつなぐ橋を渡ると、美しい別世界が広がる。

 島の真ん中より手前、北側のビスケー湾に面したところに、ラ・フロット・アン・レはある。港には白とブルー、紺色でペインティングされたヨットや小型船が連なり、それを囲むように、白壁に水色やエメラルドグリーンなどのパステルカラーで塗られた鎧戸がおしゃれな建物が並ぶ。空や海も薄い水色で、水彩画のような光景が広がっている。村全体が軽やかで清涼感のある印象で、他の村とは異なる、みずみずしいセンスが感じられる。

パステルカラーに癒やされる村でのひととき

 港をぶらぶらと一周し、小さな灯台や沖の船を眺めたあとは、村のメインストリートや路地にも足をのばす。メインストリートには、バカンス客相手にイル・ド・レ産の塩や海産物などを扱っている土産物屋や、ビーチ用品のブティック、塩キャラメルやサブレなどのお菓子屋などが並び、海沿いの村ならではの陽気さと華やかさにあふれている。建物の色は、路地の奥に入ってもなお、どこまでも甘いパステル調で統一。こうした色彩の統制からも、村の美意識の高さがうかがえる。

 ランチは港に面したレストランのテラスで、とれたての魚介を。店の人が、その日水揚げされたタラやスズキなどを使った、おすすめ料理を紹介してくれる。イル・ド・レのかつての塩田を利用して養殖されている生牡蠣は、フランスでも評価が高く、澄んだ海のヨードの香りがし、新鮮で美味しいこと! 地元で造られているソーヴィニョン種の白ワインは、白い花の香りがし、柑橘系のほのかな風味とミネラル感があり、魚介料理とのペアリングも抜群だ。潮風に吹かれながら、こうした食事をいただけるのがこの上なく気持ちいい。

 イル・ド・レの歴史を紹介するミュージアム「プラタンの家」を訪ねてみるのもおすすめだ。漁業や農業、牡蠣の養殖に従事してきた島の人々の暮らしや伝統を伝える展示があり、昔の家具や調理道具、衣装、写真などが興味深い。また、村の東、約3km離れた海岸沿いにあるラ・プレ要塞も、散策の折に立ち寄る価値がある。イギリスやブルターニュからの侵攻を防ぐために、1625年に建てられたもので、17世紀末に再建。4~9月は見学可能で、当時の要塞の様子を垣間見ることができる。天気がよければ、海風を受け、サイクリングなども楽しみたい。

パリからのアクセス

パリ・モンパルナス(Montparnasse)駅から高速列車TGVでラ・ロシェル(La Rochelle)駅まで約3時間15分。そこから約18km。ラ・ロシェル駅からタクシーで約30分。帰りは、ホテルでタクシーを予約する。

旅のヒント

ラ・ロシェル駅からのバスはレ・ポルト・アン・レ(Les Portes en Ré)行き(3A)に乗って、ラ・フロット(La Flotte)で下車、約45 分。車ならラ・ロシェルからD735で島への橋を渡り、そのまま直進。約30分。

粟野真理子
大学卒業後、本田技研に勤務。その後、編集プロダクションで編集や海外取材を経験後、渡仏。パリに20年以上在住し、旅からモード、アートまでを網羅するジャーナリストとして活躍。『フィガロジャポン』や『マリ・クレール』日本版(アシェット婦人画報社 現ハースト婦人画報社)などで、フランスやモロッコなどを巡る旅の特集や連載記事を執筆してきた。現在も『DAZZLE』や『家庭画報』『Pen』をはじめ、ハイクオリティ・マガジンや機内誌、企業の会員誌などで取材や執筆活動を行っている。本連載のベースでもある近著に、『パリから一泊!フランスの美しい村』¥1,800(集英社)。ブログ:https://mmemariko.exblog.jp/

Photos : Grammy Sauvage Text:Mariko Awano  Edit : Kao Tani


バックナンバー

「フランスの美しい村」Vol.1 ムスティエ・サント・マリー(プロヴァンス)