「フランスの最も美しい村」とは

1982年に、フランスのコロンジュ=ラ=ルージュ(コレーズ県)にて設立された協会。フランス各地に存在する、良質な遺産を持つ小さな村の観光と経済活動を促進することを目的とし、158の村が認定されている(2018年7月現在)。人口2000人以下、最低2つの史跡建造物や自然遺産があり、観光客受け入れの態勢が整っていることなど、厳しい選考基準を通った魅力的な村々が加盟している。

手つかずの自然の、原風景が残る秘境へ

 パリから飛行機で約1時間半、地中海に浮かぶコルシカ島。ナポレオンの生誕地として知られ、青く透き通った海と深い緑の山々は、フランス人にとっても憧れの場所となっている。コルシカらしい自然を満喫したいなら、真っ先に目指すべき村がある。それがピアナだ。

 ピアナは、コルシカ島西部のポルト湾の南側にあり、とりわけこの村を有名にしているのは、「カランケ」と呼ばれる岩だらけの入り江の存在だ。ジロラータ湾、スカンドラ自然保護区を含むポルト湾一帯は、1983年にユネスコの世界遺産(自然遺産)に登録されている。

 カルヴィ・サント・カトリーヌ空港から車で南下し、くねくねと山深い道を走って約1時間半。ポルト湾の奥座敷ポルトの街までは、わくわくするドライブコースだ。さらに、ポルトからピアナに向かう約6kmの道のりは、古(いにしえ)の火山活動でできた奇岩群がさまざまな表情を見せ、神秘的ですらある。高台にあるこの道からは奇岩の彼方に海と水平線が望め、その美しさに言葉を失うほどだ。

 海はひっそりしていて、崖道の脇にはコルシカ特有のマキの灌木が繁り、限りない静寂が広がる。そんな秘境の地に佇んでいることが、不可思議にすら思えてくる。

フランス国内唯一の世界自然遺産に囲まれた村

 ピアナの村は、このカランケに抱かれたこぢんまりとした可愛い村で、赤レンガ色の屋根とクリームベージュの壁で統一された民家の佇まいが印象的だ。村は1725年に創立され、住人は500人ほど。背後には雪が頂に残る高い山々が迫り、海と奇岩郡の光景とのコントラストに、まさに大自然の驚異を感じる。

 村の一番高いところには、1792年に建てられたバロック様式の小さな教会、サント・マリー教会がある。中に入ると、色彩豊かなステンドグラスが目に飛び込んでくる。ガラスを通したカラフルで優しい光と、清澄な空気は、人を清らかな気持ちにさせてくれる。

 小さな村の中は、教会以外に観光スポットのようなものがないのだが、むしろ村を取り巻く山々や美しい海岸線、草原の景色を楽しむことが、ここを訪れるべき価値といえる。また、村の小さなブーランジェリーに立ち寄り、素朴なパンやケーキを買い、村人と接するのも旅のいい思い出になるだろう。

パリからのアクセス

パリの2つの空港から、コルシカ島(Corsica / Corse)の玄関は、主に3つ。本文で紹介した北西のカルヴィ・サント・カトリーヌ(Calvi Sainte Catherine)空港のほか、北部のバスティア(Bastia)空港、西部のアジャクシオ(Ajaccio)空港があり、各々約1時間半のフライト 。航空会社によって到着する空港が変わる。

旅のヒント

カルヴィ・サント・カトリーヌ空港からは、D81を南下し、ポルトを抜けてピアナに向かう。

粟野真理子
大学卒業後、本田技研に勤務。その後、編集プロダクションで編集や海外取材を経験後、渡仏。パリに20年以上在住し、旅からモード、アートまでを網羅するジャーナリストとして活躍。『フィガロジャポン』や『マリ・クレール』日本版(アシェット婦人画報社 現ハースト婦人画報社)などで、フランスやモロッコなどを巡る旅の特集や連載記事を執筆してきた。現在も『DAZZLE』や『家庭画報』『Pen』をはじめ、ハイクオリティ・マガジンや機内誌、企業の会員誌などで取材や執筆活動を行っている。本連載のベースでもある近著に、『パリから一泊!フランスの美しい村』¥1,800(集英社)。ブログ:https://mmemariko.exblog.jp/

Photos : Grammy Sauvage Text:Mariko Awano  Edit : Kao Tani


バックナンバー

「フランスの美しい村」Vol.2 ラ・フロット・アン・レ(ポワトゥー・シャラント)

「フランスの美しい村」Vol.1 ムスティエ・サント・マリー(プロヴァンス)