希少かつ極上のベビー・カシミヤを世に送り出してきた、ロロ・ピアーナ。最初の商品が誕生してから10周年を迎えた今、ベビー・カシミヤとはどのようなものか、なぜ貴重なのかを、あらためてご紹介しよう。“最高”を求め続けるストーリーは、内モンゴル自治区のアラシャン山脈に始まり、そして間もなくスタートするポップアップストアへとつながっていく。

厳しい環境にはぐくまれた、一生に一度の繊細なやわらかさ

アラシャン地区にのみ生息するという、白毛のカシミヤヤギ。愛らしい子ヤギを傷つけることなく、毛を採取している。

 内モンゴル自治区の西部、アラシャン山脈を望む地域の一部は、世界一の品質とも称されるアラシャン・カシミヤの産地だ。峻厳な山岳地方ならではの寒く厳しい冬と、砂嵐に襲われる春、そして夏の猛暑というハードな気候とともに、半砂漠ゆえの乾燥。それらから身を守るため、この地に生きるカシミヤヤギは、二重の毛の層をもっている。外側の長く硬い毛の層によって保護された内側の細くやわらかな“アンダーフリース”こそが、極上のカシミヤの素材となる自然の恵み。春に毛が生え変わる時期にしか採取できない、貴重なものなのだ。

 1990年代の半ば、4代目としてロロ・ピアーナ社を率いていたピエール・ルイジ ロロ・ピアーナは、さらなる高みを目指してベビー・カシミヤの商品開発に着手した。使うのは、子ヤギが1歳を迎える前の6月に自然に抜け落ちるアンダーフリースのみ。1頭から採れる毛の量は成体のヤギが約250グラムなのに対して、わずか80グラム。さらに粗い毛を取り除くと、たった30グラムほどしか残らない。繊維の太さも、成体が15ミクロンなのに対して、13.5ミクロンと非常に細く繊細なものだ。およそ10年にわたって、粘り強くヤギの放牧農家への説得を続け、この希少な素材を分けてもらえるようになった。

[画像のクリックで拡大表示]
[画像のクリックで拡大表示]
〈左〉幾重にも砂丘が続く、アラシャン地区。この地をたくましく生き抜くヤギから、貴重なカシミヤが生まれる。〈右〉放牧農家が見守るなか、のびのびと過ごすヤギたち。ロロ・ピアーナでは、現地の伝統や自然を尊重し、持続可能なビジネスパートナーシップを結ぶことにも注力している。
[画像のクリックで拡大表示]
[画像のクリックで拡大表示]
〈左〉気候が穏やかになる6月に、自然と抜け落ちる毛。放牧農家では、その抜け替わりを助けるようにやさしく梳(す)いて毛を採取する。〈右〉採取した毛から、アンダーフリースのみを選り分ける作業。これが実現したのも、ロロ・ピアーナの努力のたまものだ。
[画像のクリックで拡大表示]
[画像のクリックで拡大表示]
〈左〉工場ではさらに厳しい選別が行われ、ロロ・ピアーナの基準に見合った極上の品質が保たれる。〈右〉ロロ・ピアーナによって紡ぎだされるベビー・カシミヤは、毎年わずか2000キログラム。その抜群の軽さとやわらかさは、「最高を求める」というロロ・ピアーナの哲学の結晶だ。